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【高校野球】創部5年目の福岡・八女学院がベスト8進出 指揮官は新庄剛志、牧原大成らを育てた74歳の名伯楽 (3ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

 ベスト8には3季連続甲子園出場を狙う西日本短大付、公立の福島、そして八女学院と、茶の産地で名高い八女市から3校が進出した。毎年、新チーム結成後に行なう八女地区リーグ戦や、筑後地区高等学校野球大会などでしのぎを削る近隣の高校同士が、福岡の頂点をかけ、準々決勝に臨む。石飛が続ける。

「切磋琢磨して八女の野球を活性化させたいというのはありますが、ほかの2校には負けられないという強い気持ちはあります」
 
 末次監督は「西短効果だよ」と母校を持ち上げるが、新庄監督と同期だった西日本短大付の西村慎太郎監督も教え子とあって、決勝まで進めば師弟対決となる可能性がある。その前に、23日は2年ぶり夏の甲子園出場を狙う強豪の九州国際大付戦に臨む。

「意識しても勝てる相手ではないので、自分たちの力がどれだけ出せるか。3点以内の接戦になったらチャンスはあるかな」

 石飛も自らを熱心に誘ってくれた末次監督に恩返しするべく、連投も辞さない構えだ。「自分は北九州市出身なので、地元のチームには負けられないかなと思っています」と、九州国際大付へのライバル心をあらわにする。

 帽子のつばには、人気ロックバンド「ONE OK ROCK(ワンオクロック)」の『未完成交響曲』にちなみ、「未完成」の文字を記している。

「決勝まで行けば、『未』を消して『完成』と書こうかなと思っています」

 未完成の左腕が完成へと近づいた時、八女から現れた新興勢力が福岡の歴史を変えるかもしれない。

著者プロフィール

  • 内田勝治

    内田勝治 (うちだ・かつはる)

    1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう

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