【高校野球】プロ注目のスラッガー、昌平・櫻井ユウヤを支える母の愛 弁当100個に込めた甲子園への願い (2ページ目)
櫻井は日本で生まれ育っているものの、両親はタイ国籍である。中学1年時に日本人の祖父の「櫻井」に改姓した。両親は離婚しており、母・リンダさんと兄と3人、栃木県那須塩原市で暮らしてきた。中学生の時点でメディアに取り上げられることもあった櫻井は、埼玉の強豪・昌平に進学。現在は寮生活を送っている。
愛息・ユウヤについて聞くと、リンダさんは流暢な日本語で「ホントに私の子でいいの? って思います」と語った。
「お兄ちゃんは反抗期もあったけど、ユウヤは全然なくて。前にユウヤのこと、インターネットで悪く書かれているのを見て......。『そんな子じゃないんです』って言いたくても、私は何もできないじゃないですか。私、ユウヤのことが心配でやせちゃったの。でも、ユウヤはそんな私を見て、『ママが心配だよ』って言ってくれて。自分のことより、人のことを考える子なんです」
【野球の神様が支えてくれている】
異国の地でシングルマザーとして子ども2人を育てる苦労は、相当なものだったのではないか。そう尋ねても、リンダさんはこう笑い飛ばした。
「私は子どもをサポートできるなら、何でもやりたいんです。支払いができないなら、頑張ればいい。私、お弁当を1日100個売ってます。ひとり親ですけど、子どもには食べたいものを好きなだけ食べさせてやりたいんです」
リンダさんは那須塩原市でタイ家庭料理の店を営んでいる。ただし、店の営業よりも、息子の応援が最優先。当初はテイクアウト専門店だったが、今では客のリクエストを受けて平日ランチ営業もしている。ユウヤの大好物は鶏の唐揚げだという。
リンダさんは「普通の日本人みたいな生活をさせてやりたい」という思いを原動力に、日々の生活を送っていると語った。
「迷惑をかけると、日本人じゃないと倍になっちゃう。だから、普通のいい子になってほしいだけなんです。スポーツをすれば、勝ち負けがあるから頑張るじゃないですか。だから子どもにはスポーツをやって、真面目に生きてほしいと思ったんです」
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