【高校野球】偏差値70の進学校に140キロ超えの投手が続々 公立の雄・東筑が第1シードで挑む夏 (2ページ目)
【量より質を求めてスイングスピードアップ】
グラウンドはラグビー部、サッカー部、陸上部と共用。使用スペースも内野のみと限られる。全面が使えるのは月曜、金曜の2日間と、水曜は18時以降のみ。火曜、木曜はバックネット側に向かってフリー打撃を行ない、打撃感覚を養う。
十数年前、バックネット前に移動式のネットが完成。打球が突き抜ける心配がなくなったため、選手たちは気兼ねなくフルスイングできる。
「他校の監督から『何でそんなに打つんですか?』と聞かれたこともあります。素振りや打撃練習も多いと言われるけど、そんなに特別なことはしていません。バットが低反発に変わった影響は大きいけど、春はなぜか打線がよくつながってくれました」
基本は打って勝つチームを理想としている。以前は「量」を追い求めたこともあったが、今は「質」に重点を置き、スイングづくりをさせている。
「陸上100メートル走の選手は一本を走るのにものすごく間を空けます。一度に多く走っても足は速くなりません。スイングも一緒で、数は少ないんだけれど、間を空けて一本一本を全力で振る方が、スイングスピードが速くなるんじゃないかと思って、いま試していますが、それがどうなるかですね」
65歳になってもなお、その探究心が衰えることはない。校内にウエイトルームはあるが、トレーナーがいないため、自ら動画や本で調べ、オリジナルメニューを作成。流行りのトレーニングがあれば試し、限られた時間内で選手たちの最大値を上げていく。強豪私学の監督からは「東筑の選手たちは体つきがすごい」「公立高と思わないようにしている」など驚きの声が挙がる。
「他校は科学的に鍛えているんだと思っているんでしょうね(笑)。自分で調べたことを選手に勝手にさせているだけなんですよ。私の意識は『速く』するということ。球速もスイングも足も、何でも『速く』できるようになってほしくて、いろいろとやらせています」
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