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「無課金男」が挑む打率4割とNPB 「バッティンググローブも防具もいらない!」 高知ファイティングドッグス海辺眺は大谷翔平レベルのスイング (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu

 ここまでの実績なら野球をあきらめて、一般企業に就職する選手がほとんどだろう。しかし海辺は、「野球が好きですし、もうちょっと行けるかなという気持ちがあった」と現役続行を決意。そんななか唯一、声をかけてくれた高知ファイティングドッグスに入団した。

【大谷翔平級のスイングの秘密】

 1年目の昨季は打率.313とまずまずの数字を残したものの、ドラフト指名の可能性を示す「調査書」はNPBのどの球団からも届かなかった。「内容的にはまだまだだったので、もっと頑張らなきゃという気持ちでした」と本人も手応えを得るには至らず、気持ちはすぐに2年目の今季へと向かった。

 課題は長打力だ。昨季は68試合出場で、二塁打7本、三塁打3本、本塁打3本と、単打が多かった。そこでオフは「打球速度や打球角度を上げることを意識して練習しました」と話す。

 その成果は数字にも表われている。今季、前期に出場した29試合ですでに二塁打9本、三塁打3本、本塁打2本。打率も4割を超えた。また「外野よりも内野のほうが、チャンスが広がると思って」と、今季から取り組んでいる三塁の守備でも、ここまでわずか2失策。

 選手兼任コーチの佐々木斗夢は、海辺のスイングについて「骨盤・胸・肩・腕・バットの連動が見られるアプリで解析すると、大谷翔平選手と同じくらいのレベルなんです」と高く評価する。

 一方で、海辺自身は「まだスイングスピードが足りないし、軌道も課題。ここが改善できれば、もっといい結果が出ると思います」と、さらなる成長を見据える。

 "無課金"スタイルの理由を尋ねると、「単純にそのほうが打ちやすいんです」と笑う。

「バットと手の間に何かあると、違和感があるんですよ。高校の時に右手だけ手袋をつけたことがあるんですが、しっくりこなくて......すぐに外しました」

 6月28日から後期も始まり、あっという間に10月のドラフト会議もやってくる。

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