「今年ダメなら野球をやめる」DeNA・山本祐大の弟が「ギータ流スイング」で挑むNPBへの道 (3ページ目)
独立リーグの舞台では、持ち前の長打力に磨きをかけている。
「社会人でやっていた時は塁に出ることが求められていましたが、今年はより長打力にフォーカスしてやっています。野球に集中できる環境で、今までで一番充実しています」
西武三軍戦での山本はベンチスタートになったが、途中から左翼のポジションに入った。打撃では、得点圏に走者を置いての打席が続いたものの、センターフライ、見逃し三振とチャンスを生かせなかった。
だが、6対7と1点を追う9回表に、山本は意地を見せる。無死一塁で打席に立つと、カウント3ボール2ストライクから際どい球を見極め、四球をもぎ取った。BCリーグ選抜は同点に追いつき、試合は7対7の引き分けに終わった。この四球こそ、社会人野球経験者らしい、勝負への執念を感じずにはいられなかった。
試合後、山本はあらためて今後の決意を語っている。
「(NPBに)行けないと思ったら行けないので。絶対に行けるつもりでやりきった結果、それでも(ドラフトに)かからなければ、それが実力ということだと思います」
兄と同じ舞台で戦うために。強烈なエンジンを内蔵する山本仁は、全速力でこの1年を走り抜けるつもりだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3