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「今年ダメなら野球をやめる」DeNA・山本祐大の弟が「ギータ流スイング」で挑むNPBへの道 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahirio

 柳田を彷彿とさせる打撃フォームについて聞くと、山本は「よくぞ聞いてくれた」と言わんばかりの勢いで語り始めた。

「高校生の頃から、柳田選手しか見てなかったんです。大谷翔平選手よりも、柳田選手のプレースタイルが好きで。自分の場合は、柳田選手みたいにもっと再現性を出せたらいいんですけど。それでも、まずは強く振らないことには始まらないと考えています」

【勝負は今年1年のみ】

 京都翔英を卒業後、当時はクラブチーム登録だった神戸ビルダーズに入部。同チームは山本の入部2年目から企業登録となり、4年目からアスミビルダーズと改称。日中は建設現場で働き、夜間の約3時間を野球の練習にあてる日々を過ごした。

 2023年にはNPB通算282本塁打の藤井康雄(元オリックス)氏が打撃コーチに就任。藤井コーチはソフトバンクコーチ時代に、柳田を指導した経験があった。そのなかで、柳田と山本をつなぐ情報がもたらされた。

「藤井さんは4スタンス理論を指導しているんですけど、柳田さんも自分も『A2』と分類される体の使い方でした。たまたまなので本当にビックリしたんですけど、柳田さんを目指してきてよかったです。それから、どんどん柳田さんに寄せていっています」

 だが、NPBへの道は遠かった。

「もともと野球知能が低かったので、社会人でしっかりと野球を学んでからプロで勝負したいと思っていたんです。走塁、守備、打撃と勉強になることばかりで、社会人でプレーできて本当によかったと感じています。3年目にいい成績が出て、社会人でも(ドラフトに)かかるんじゃないか......と思っていたんですけど。でも、4年目もダメで。このままでは厳しいと感じました」

 兄は独立リーグを経由してNPBへの挑戦権を得ているが、山本は「なかなか踏み出せなかった」と葛藤を明かす。社会人5年目に退社を決意し、高卒6年目の今季、茨城アストロプラネッツに入団した。

 期限は「1年」と決めている。

「1年勝負で挑んでいます。今年ダメなら、野球をやめるつもりでやっています」

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