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「とんでもないのがいまして...」ドラフト候補の隠れた逸材、創価大の193センチ右腕の正体 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 そして、試合中のブルペンでの投球練習を見て、「間違いなく大器だ」と確信した。リリース時にしっかりと指にかかったストレートが、捕手に向かって加速するように伸びていく。強烈なスピンのかかったボールは、低めに構えた捕手のミットを激しく突き上げた。

 恵まれた上背を生かし、角度をつけて投げ下ろすタイプではない。だが、これだけ好球質のストレートを投げられるドラフト候補が、今年いるだろうか。山崎の投球練習を見ながら、考え込んでしまった。

 ブルペンで山崎の投球に見入っていると、あるプロ球団のスカウトが近寄ってきた。数々の名選手を発掘してきた、実績のあるスカウトだ。他球団のスカウトが立石や大島の視察にのめり込むなか、そのスカウトは「今まで見たことがなかったから」と山崎を見にきたという。

 ひとしきり投球を見守ったスカウトは、「指にかかった時のボールがすばらしいね」と笑顔でバックネット裏へと戻っていった。

【駿河台大相手に3回5奪三振】

 創価大が6対0とリードした6回裏、交代を告げられた山崎がマウンドへと向かった。

 結果的にこの日に山崎が投げたのは、3イニング。打者9人をパーフェクトに抑え、5三振を奪っている。最高球速は148キロだった。試合は13対0(8回コールド)で創価大が駿河台大を下している。

 ただし、山崎の投球内容については、ブルペンで見た時ほどのインパクトはなかった。ストレートで押すというより、スライダーでかわすシーンが目立ったからだ。

 試合後、山崎のもとを訪ねてみた。間近で見上げると、想像していたよりも大きく感じる。念のために身長を聞くと「193センチ」だという。

「メンバー表に載っている身長は、更新されていない数字なので」

 正確なサイズは身長193センチ、体重86キロだという。

 ブルペンでの投球練習に衝撃を受けたことを伝えると、山崎は笑ってこう答えた。

「今日はブルペンのほうがよかったです。駿河台大のバッターの反応を見て『真っすぐを張ってるな』と感じたので、スライダーを多めに投げました。スライダーも自信があるので、うまくかわせたかなと思います」

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