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【大学野球】立教大が甲子園のスターと脇役たちの融合でミラクル連発 8年ぶりのリーグ制覇なるか (2ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro

 ビデオ検証の結果、打者走者はセーフとなり、判定は覆らなかった。

「安部先生の教えに背いたということで、敗戦以上に重たい負けです。(私の)指導不足ですね。安部先生はおそらく、お怒りになっているでしょう。だから、ああいう結果(サヨナラ負け)につながったのかもしれない」

 小宮山監督は先人の教えを知りながら、なぜそうしたのか。

 選手の思いを汲んでということに加えて、この試合に負ければリーグ戦3連覇に危険信号がともるからだろう。早稲田大はこのあと、今シーズンここまで全勝の明治大、そして宿敵・慶應義塾大と戦わなければならない。だから立教大戦は、どうしても落とせない試合だったのだ。

【ミラクル連発の理由】

 早稲田大を下して勝ち点を2とした立教大は、ここまで5勝3敗。特筆すべきはその勝ち方だ。5勝のうち3勝がサヨナラでの勝利で、いずれも劣勢から追いつき、ひっくり返したものだ。

 この勝負強さはどこから生まれるのか。まず、スターティングラインナップに並ぶ選手の出身校を見れば、20年前、30年前の立教大とは大きく違う。

 早稲田大との第1戦でサヨナラヒットを放った村本勇海や丸山は大阪桐蔭の出身で、ショートの小林隼翔は広陵(広島)時代に日本代表の主将を務めた経験がある。

 またエースの小畠一心は智辯学園(奈良)、リリーフでマウンド上がった竹中勇登は大阪桐蔭。さらに、斎藤蓉や吉野蓮といった投手も、仙台育英(宮城)で修羅場をくぐり抜けている。

 しかし甲子園で活躍したスターを揃えても、東京六大学で優勝することは容易ではない。有望選手を迎え入れながら、2017年の春以降、優勝から遠ざかっていることからもわかる。

 ではなぜ、今シーズンの立教大は劣勢でも闘志を失わず、逆転勝ちを収めることができているのか。監督就任2年目の木村泰雄監督は言う。

「昨年は1勝しても、勝ち点が奪えなかった。今年はそこ(勝ち点)を目指して、チームとして取り組んできました。それができていると思います」

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