中学時代のチームメイト・工藤泰己と髙谷舟が北海学園大で再会し、ドラフト上位候補になるまで (2ページ目)
その2日後、西武三軍戦で工藤は先発登板し、3イニングを投げている。立ち上がりは「久しぶりの先発で力んでしまった」と制球に苦しみ、2四球とボークで1失点を喫した。それでも、最速153キロを計測。身長198センチ、体重115キロの大型打者である、アンソニー・ガルシアのバットを折るシーンもあった。
3回を投げて被安打0、奪三振3、与四球2、失点1。登板後、工藤は「四球で悪い流れをつくってしまった」と反省しつつも、こんな手応えを語っている。
「今日は先発として、ゆったりと脱力したフォームでどれだけ投げられるかを試していました。遠征終盤で疲労も多少ありましたが、軽めの力感でも押し込めていたので、ストレートは意外とやれるかもと感じました」
視察したスカウトのなかには、バランスのいい投球フォームを評価する声もあった。ただし、工藤は「大学で時間をかけて、つくってきたフォーム」と明かす。投手歴は高校3年からと浅く、小・中学生時はずっと捕手だった。
「ずっとキャッチャーだったので、右腕を下ろして投げたことすらなかったんです。ピッチャーらしいフォームをつくるにはどうすればいいか、ずっと悩んできました。最初はいろんなピッチャーの動画を見て真似して、アナリストの加藤さん(拓光/現・西武)にもアドバイスをいただいて。自分が投げたいフォームにするには何が必要か、逆算しながらやってきました」
工藤は「ピッチャーをやってきた人の倍は練習しないといけない」と、朝から晩まで野球のことを考え続けてきた。依然としてコントロールに課題があるのは確かながら、この3年間で着実に向上してきたのも事実だ。
現時点でも、支配下でドラフト指名を受けるだけの実力はあるだろう。それでも、本人が目標とするのは「ドラフト上位指名でのプロ入り」。工藤は「自分は上位の実力をつけてプロに入らないと、長く活躍するのは難しいと思う」とまで言いきる。
「上背もない(身長175センチ)ですし、プロ1年目からガンガンいける力がなければ自分は評価されないと思うんです。ここまで大学2年間で体をつくって、3年以降はなだらかに投球がよくなっているイメージがあります。球速は安定して出ているので、変化球やコントロールなど精度にこだわっていきたいです」
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