2025年のドラフト上位候補 創価大・立石正広が波乱の1年を乗り越えてたどり着いた新境地 (2ページ目)
ただし、立石を手放しで称賛できない要因もある。今年に入ってから立石は好不調の波が激しくなっている。今春のリーグ戦開幕時は本人が「最悪でした」と振り返るほどの絶不調で、三振を重ねた。シーズン途中から持ち直して大学日本代表に選ばれたものの、代表招集期間に再びスランプに陥る。当初は代表の4番打者を任されていたが、最後はスタメンを外されていた。
立石は当時の心境をこう明かしている。
「自分のバッティングがわからなくなりました。いろんな選手が活躍しているのに焦って、自分で勝手に変化してしまいました」
不振は秋のリーグ戦も続いた。東京新大学リーグで打率.244、0本塁打、2打点。立石は「まともなバッティングができなかった」と語るほど、実力を発揮できなかった。
【評価されすぎじゃないか】
そんな立石に転機が訪れる。リーグ戦が終わり、明治神宮大会の出場権を決める横浜市長杯(関東地区大学選手権)でのことだ。立石はこれまでの感覚をリセットして臨んでいた。
「トスバッティングのつもりで、『振らなくても飛ぶ』という感じでラクに構えるようにしました」
今まで広くとっていたスタンスの幅を狭め、力を抜くことを意識した。すると、湿り続けた立石の打撃に変化が起こる。
中央学院大との初戦、1打席目から2打席連続ショートゴロに倒れた後の3打席目だった。立石本来の鋭いターンから弾かれた打球は、横浜スタジアムのセンターフェンス上部を直撃する。この二塁打が立石を蘇らせた。
「ちゃんとセンターへ打ち返せたので、自分のなかで『これからに生きてくる打席だ』といいイメージが持てました」
つづく4打席目は、内角のストレートをとらえて左翼スタンドに放り込む逆転3ラン。立石は大会3試合で5安打を放ち、チームを明治神宮大会出場に導くとともにMVPを受賞している。
横浜市長杯で好感触を得て、明治神宮大会での爆発につながった。立石は佛教大戦の試合後にこんな手応えを語っている。
「よく考えたら、大学生になってからいい時は逆方向にホームランが出ていました。悪い時は力んで体が早めに開いてしまうんですけど、今日は力を抜いてリラックスして逆方向に打てました」
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