日本高野連に所属しない選手たちは「リーガ・サマーキャンプ」に何を求め、何を感じたのか? (4ページ目)
試合中、ランナーへの呼びかけなど必要な声を出すチームメイトにつられ、宮部も自然に声が出たという。
「あまり大きな声は出ないけど、出せるだけ出しました。周りにつられて(笑)。アメリカにも声出しはありますが、声で圧をかけるみたいな感じはないので新鮮でした。ほかの県の子と話したり、友だちもできて楽しかったです」
将来はアメリカか日本、あるいはメキシコやコロンビアを含め、世界のどこかでプロ野球選手としてプレーしたいと考えている。
「IMGではOBの大橋武尊さん(元DeNA、今季はメキシコでプレー)にお世話になりました。いろんな人とつながりができるのが楽しくて。リーガ・サマーキャンプの阪長さんともつながりがあるんです。自分がIMGでプエルトリコの大会に行った時、そこに来たトレーナーの方が弘前聖愛高校のトレーナーをしていて、阪長さんと知り合いでした。親からつながりの大切さを学び、自分も大切にしようと思っているので、(いろんなつながりを)どんどんつくっていきたいです」
アメリカからプレー機会を求めて参加した宮部や、3年ぶりに試合でプレーした工藤に加え、受験のために2年冬に野球部を退部した選手、普段はクラブチームで週に一度プレーする選手など、多様な者たちがそれぞれの目的を持ってリーガ・サマーキャンプに参加した。既存の枠にとらわれない試みだからこそ、選手たちは新たな価値観に触れ、充実した日々を過ごすことができた。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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