日本高野連に所属しない選手たちは「リーガ・サマーキャンプ」に何を求め、何を感じたのか? (2ページ目)
一方、野球をしたいという情熱は消えず、知的障がいのある生徒が甲子園出場を目指せる土壌づくりを目的とする『甲子園夢プロジェクト』にも参加した。
だが、開催場所の都内近郊まで行けるのは年3回程度。北海道から足を運んでも肩の強い工藤の球を捕れる選手はおらず、「手加減せざるを得なかった」。無理もない。高校3年時に夏の釧根支部予選の始球式で登板すると、球速140キロを計測するほどの豪腕なのだ。
リーガ・サマーキャンプでは外野手として登録され、18打数5安打で打率.278、長打を3本放つなど好成績を収めた。
「工藤くんの運動能力の高さにあらためて驚かされました」
そう語るのは元ロッテのクローザーで、リーガ・サマーキャンプに指導者として招かれた荻野忠寛氏だ。甲子園夢プロジェクトにも携わり、高1の工藤を見て「強豪校でも通用するレベル」と感じたという。
「今回、プロを狙える選手と同じグラウンドに立ち、遜色ないプレーを見せました。初日の初打席で対戦したのは横浜高校で、140キロくらい投げるピッチャーだったので『さすがにきついかな』と思っていたら、いきなり痛烈なショートゴロ。この感じならヒットが出ると思ったら、逆方向に長打を打ちました。運動能力は高いですね。しかも、まったく練習せずに参加しているので、ポテンシャルはかなりのものがあると思います」
工藤はヒットを放つたび、「野球をちゃんと2年半やっていれば、もっとしっかり捉えられた」と感じたという。ドラフト候補右腕の田上航(八幡商業)にはショートゴロと空振り三振に抑えられたが、「もっと練習していれば打てたはず。次は負けない」と闘志をかき立てられた。
「自分としては、まだまだできたという感じでした。物足りない気持ちが強いですね。今は独立のトライアウトを受けたい気持ちが強いです」
夢はプロ野球選手ではなく、独立リーガー。もちろん理由がある。
「高1くらいからそう思い始めて、今年の2、3月に動画を見ていて『独立でやりたい』気持ちが強くなりました。いきなりプロ野球選手(NPB)と言わないのは、みんなと違って2年半のブランクがあるからです。独立でいろいろ経験し、その過程があってからプロ野球を目指したい」
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