夏の甲子園・慶應フィーバーの過熱報道に「怖さあった」 丸田湊斗が明かす夢の舞台の裏側 (2ページ目)

  • 武松佑季●取材・文 text by Takematsu Yuki
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【決勝の先頭打者HRは頭が真っ白】

 丸田は冷静に話すが、慶應が"応援されるチーム"になった背景に「エンジョイ・ベースボール」があるだろう。

 象徴的だったのは甲子園での3回戦、広陵(広島)戦。試合は3ー3の同点で延長タイブレークに突入。先攻の慶應は10回無死一、二塁の場面で丸田の打席を迎える。

 高校野球のセオリーから言えばバントの場面だが、丸田は「自分の足なら基本ゲッツーはない。タイブレークの先攻なのだからなるべく多くの点が必要でした」とヒッティングを強行した。

「メディアの方からその選択についてよく取り上げられますが、僕も調子がよかったし、(監督の)森林(貴彦)さんからも打席へ入る前に『打つぞ』と言われていた。チーム全体の考えは一致していたと思います」

 そしてみごと、ライト前ヒットを放って、3点勝ち越しの足掛かりをつくった。

 自主性を重んじ、自ら考えてプレーするチームカラーは、どうしても旧態依然とした印象を与えていた高校野球に風穴を空けたような痛快さがあった。

 そして、極めつけは決勝戦では大会史上初となる先頭打者ホームラン。丸田は「頭が真っ白でよく覚えていない」と話す。

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