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【夏の甲子園2024】興南の1年生捕手・丹羽蓮太が浴びた大阪桐蔭の洗礼 「雰囲気が違う。怖さがあった」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 高校に入って初めての夏。いきなり正捕手に抜擢され、甲子園に出場できただけでも上出来だろう。だが、初戦で全国屈指のタレント軍団・大阪桐蔭と対戦すれば......。凡人では想像できないようなショックを受けるのではないか?

 興南の丹羽蓮太を見ながら、そんな思いが湧いてきた。丹羽は那覇市立城北中から興南に進み、今夏は「4番・捕手」として甲子園出場に貢献した。身長174センチ、体重75キロの中肉中背で、アクションの大きな打撃スタイルは打席内でよく映える。

興南の4番を任された丹羽蓮太だったが、無安打に終わった photo by Ohtomo Yoshiyuki興南の4番を任された丹羽蓮太だったが、無安打に終わった photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る

【自分たちの野球をすれば勝てる】

 組み合わせ抽選の結果、甲子園初戦の相手が大阪桐蔭と決まっても、丹羽に畏怖の念はなかったという。

「自分たちの野球をすれば、勝てる相手だと思っていました」

 春のセンバツや夏の大阪大会の映像を見て、大阪桐蔭の対策を練った。丹羽の所感はこうだ。

「初球から思いきり振ってくるバッターが多いのは嫌だなと思いました。中心選手の境(亮陽)選手、徳丸(快晴)選手はとくにスイングが強くて、一番警戒しないといけないなと」

 アドバイスをくれる心強い存在もいた。控え捕手の仲本大政である。

「大阪桐蔭の情報を見ながら仲本さんとたくさん話して、アドバイスをもらって安心していました」

 丹羽にとって仲本は小・中学校を通して2歳上の先輩である。それでも、仲本はいつも丹羽を「思いきりやってこい」と温かく送り出してくれた。試合終盤になると守備固めに入る仲本に対して、丹羽は「試合中、バックに仲本さんがいると思うと心強いですし、思いきってプレーすることができます」と語った。

 立ち上がりは最高だった。興南の先発左腕・田崎颯士はシュートしながら浮き上がるストレートと、スライダー、カットボールを駆使して大阪桐蔭打線をねじ伏せる。2回まで打者6人をパーフェクトに抑えた。

 丹羽は「高めのインコースでフライアウトを多くとれた」と手応えを覚えた一方で、ひとつ気がかりなことがあった。

「大阪桐蔭のバッターのスイングの強さが、想定していたよりも上をいっていました。沖縄は小柄なバッターが多かったんですけど、大阪桐蔭は体が大きくてスイングが力強い。ここまで強く振れるチームを初めて見ました」

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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