慶応義塾大・堀井監督×立教大・木村監督「高校の同級生対決」の行方は?「親友としてつらいですよ」 (3ページ目)

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki

 ひとつの結果を出した木村は、受賞を機に監督を退任。その後は社業をこなし、出向した日本紙通商では取締役まで務めた。それでも野球好きの木村は、盟友である堀井の紹介で、土日は戸田東リトルシニアのボランティア監督を経験。2023年2月に取締役を退任し、同年6月に立教大のコーチに就任。そしてこの春から監督となった。

 木村よりひと足早く大学野球の監督となった堀井は言う。

「今までは社会人野球のほうが、プレッシャーがかかると思っていたが、学生野球には社会的な重さと責任があるのでやりにくい。少なくても春秋2試合ずつ対戦しなくてはならないし、必ず勝敗がつきます。しかも学生やOBの前で、母校のユニフォームを着て結果を出さなくてはならない。木村とは、今までのように簡単に連絡を取り合ったりはできないでしょう。お互いにユニホームを脱ぐまでは、会う機会も少なくなると思います。親友としてこれはつらいですよ。木村のことだから、しっかりチームを仕上げてくるでしょうし、立教戦はタフな試合になるでしょう」

 堀井の言葉を木村に伝えると、苦笑いを浮かべこう述べた。

「何言っているんですかね。自分はまだ神宮での監督としての実績がゼロなのでなんとも言えません。彼のほうが遥か先を行っていて、自分としては堀井と対戦できるだけで光栄です。『自ら思考し、自ら実践する』精神で胸を借りるつもりです。とにかく同級生ということをあまり意識しないように、胸を借りるつもりです」

 正月にはふたり揃って、韮山高の龍城山グラウンドを訪ねた。現役の選手たちに指導し、教室ではミニセミナーを開いたという。

 長い間、同じステージを歩み、戦法まで知り尽くした同級生対決の行方は......。

(文中敬称略)

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