モデルチェンジでドラフト指名を目指す社会人の逸材たち かつて最速145キロのプロ注目投手は俊足好打の外野手に (3ページ目)
だが、JR東日本に入社後も篠田の状況は好転しなかった。ほとんど実績をつくれないまま、2年目を終えた段階で野手に転向した。濵岡武明監督から俊足を評価されていたからだ。
「もともと自分が野手をやるイメージもなかったですし、最初はピッチャーの球筋の見極めや、守備にも全然慣れなくて大変でした。でも、ピッチャーと違って、打って、走って、守ってとやることが多いので面白いです」
もともとは盗塁も苦手だったが、「とにかく勇気が大事」と積極的にスタートをきるようにした。そして、篠田は自分にしかない武器に気づかされた。
「ピッチャーのクセや動作がよく見えるようになりました。自分もやっていたので、ピッチャーの心理がわかるのは武器だなと思いました」
佐々木だけでなく、宮城大弥、紅林弘太郎(ともにオリックス)など、5年前の高校日本代表候補合宿でプレーした同期生は早くもプロで鮮烈な輝きを放っている。篠田も「プロを目指してやっていきたい」と、再び同じフィールドに立つことを目指している。
「バッティングも守備もまだまだです。でも、ひとつレベルアップすれば、どんどん上がっていく感覚があるので。まずは出塁率を上げられるように、取り組んでいきます」
アマ最高峰の社会人野球で頭ひとつ抜けたその時、きっと次の扉が開くはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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