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甲子園を沸かせた秀岳館・川端健斗が空白の2年を経て社会人野球で再スタート「まだプロは全然あきらめきれていない」 (2ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

 立大では1年春のリーグ戦から7試合に登板して2勝0敗、防御率1.93、同年秋も1勝2敗、防御率2.84と順調なスタートを切ったかに思われたが、「フォームに違和感を感じていた」という。そこから自分本来のフォームを見失う。

 川端の持ち味であった力強さは消え、球速も130キロ台前半まで低下。制球にもズレが生じた。3年からは左ヒジに痛みを抱えながらオープン戦に登板。痛み止めの注射を打ちながらアピールを続けたこともあった。

「進路のこともあったので、最後のほうは無理してやっていました。高校でいい成績を残せて、大学に入って周囲の期待に応えることができず、苦しんでいる時は、その期待が自分にとってはしんどいなって思うことがありました」
 
 結局、2年秋を最後にリーグ戦で登板することはなかった。わずかな望みをかけてプロ志望届を提出も、ドラフトで名前を呼ばれることはなく、進路も決まらないまま、大学野球を終えた2021年11月にトミー・ジョン手術を受けた。
 
「痛みもありましたし、左腕にまったく感覚がないので、自分の腕じゃないみたいな感じでした。ここからどういう風に投げられるのか、本当に不安でしたね」

 大学に籍を残し、孤独なリハビリの日々が始まった。手術から半年が過ぎた頃にはキャッチボールが再開できるまで回復も、"就職活動"は思うように進まない。プロや独立リーグ、社会人側からすれば、手術明けで、長らく実戦から離れている投手の採用に二の足を踏むのは当然だろう。"浪人生活"も気づけば2年目に突入していた。

「リハビリをやって1年くらい経った頃は『本当に野球を続けられるんかな』っていう気持ちになりました。でも、野球を辞めたいなとか、そういう気持ちになった時、両親の顔がパっと思い浮かぶんです。それを考えると辞められないですよね」

 まだ野球を続けたい──。その一心でリハビリに励んだ。投球後には指先までしっかりとストレッチを行なうなど、ヒジの入念なケアはもちろん、肩の故障を防ぐために、インナーマッスルの強化にも時間を割いた。同時に上半身のウエイトトレーニングも積極的に取り入れ「筋肉量は多分増えたと思います」と手応えを見せる。

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