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共栄学園が甲子園出場を果たした背景にある「画期的練習法」 専用グラウンドがなくても大丈夫 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 全国での実績も専用グラウンドもない共栄学園だが、初めて立った甲子園の開会式で、選手たちは堂々としているように原田監督の目には映った。

「体つきは強豪校に負けていないから、生徒たちが気持ち的にも引かない。すごく大事なことだと思います」

【ラガーマンのような体格】

 現2年生はもともと体つきに恵まれた選手が多く、昨秋からの取り組みで筋量をさらに増やした。彼らは、高校球児というよりラガーマンのように見える。とにかく胸板が分厚いのだ。

 肉体改革1年目は体重増を見据えてウエイトトレーニングを多く行なったが、今年はパワーアップした体をうまく操れるように、体幹や瞬発力アップのメニューを増やしていきたいという。

 甲子園から戻った夏休みの練習は、1週間のうち1日がオフで、2、3日は練習試合を実施し、残りの日はウエイトトレーニングにあてるというサイクルで行なった。そうして9月3、10日の秋季東京大会1次予選を勝利し、本戦出場を決めた。

 野球の練習をせずにトレーニングを徹底し、はたしてその影響をどう感じたのか。原田監督が振り返る。

「体重が落ちなかったので、出力はある程度キープできました。ただ、実戦不足は否めなかったですね。生きたボールを打つことと、走塁に関してそう感じました。でもトレードオフなので、『致命的なミスが出て負けたら仕方ない』と考えてやっていました。夏に力を蓄えてきた効果が出るのは、涼しくなってきてからでしょう。これからに期待しています」

 日本の野球チームは練習しすぎるあまり、いざ本番を迎えた頃に疲労が溜まっていて、持てる力を存分に発揮できないという課題がたびたび指摘される。その意味でも、今夏の共栄学園のアプローチは興味深い。昨秋の失敗と、専用グラウンドを持たないというディスアドバンテージを逆手にとったからこそ、原田監督は発想できたのだろう。

「夏の東東京大会が始まる前から、新チームはこうやろうと計画していました。甲子園? もともと行かないものだと思っていたので......(笑)。7月のどこかからトレーニングを徹底しようと、あらかじめ決めていました」

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