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高校球界は空前の「盛り上がりが足りないブーム」だが、聖光学院は採用せず「男の勲章」を貫くワケ (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

【チーム全員で戦うのがモットー】

 聖光学院には聖光学院のスタイルがある。アルプススタンドの応援部隊は、最前列を3年生が陣取る。スタンドで戦う意志を示すため、3年生が先頭に立って声を張り上げるのだ。小林副団長は言う。

「自分たちもそんな先輩方を見て、『格好いいな』と思ってきました」

 小林副団長は茨城の江戸崎ボーイズから聖光学院に進学している。左投手として甲子園での華々しい活躍を夢見たが、それはかなわなかった。それでも、小林副団長は悔しさを押し殺して声を張り上げる。

「たとえベンチに入れなくても、チーム全員で戦うのが聖光学院のモットーなので。『自分が、自分が』と自己中心的に考えるのではなく、全員で勝つにはどうすればいいのか。そう考えて、自分もグラウンドのメンバーと一緒に戦っているつもりです」

 共栄学園との初戦を9対3で勝利した聖光学院は、8月12日に仙台育英との2回戦を戦う。

「盛り上がりが足りない!」と己を鼓舞するもよし、『男の勲章』を歌い上げるもよし。彼らはそれぞれの方法でスタンドを盛り上げ、勝利のために戦っている。

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【目次】

はじめに 主な登場人物

第1章 元プロ野球選手の鉄道マン

第2章 京大で野球をやる意味

第3章 元生物部の「クソ陰キャ」

第4章 京大生はなぜケガが多いのか?

第5章 頑なに関西弁を拒む主将の改革

第6章 「ソルジャー」近大への復讐

第7章 野球ヲタ投手コーチの落とし穴

第8章 ヘラクレスの引退騒動

第9章 ラストゲーム

第10章 京大野球部が優勝する日

おわりに

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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