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坂本勇人級の大型遊撃手が奥信濃にいる! 日本ウェルネス長野・杉浦匠がこの夏本格化 (3ページ目)

  • 安部昌彦●文 text by Abe Masahiko

【名将にとって最後の夏】

 一方、守備はどうか。

「守備で一番輝けるのがショートだと思っていますから。その責任を果たすためにも、もっと精度を上げないといけないと思っています」

 体のサイズだけなら、巨人の坂本勇人とほぼ互角。高校野球ではなかなかいない大型遊撃手だが、フィールディングを見ても、そのビッグサイズを持て余していない。

 守備範囲を広げようと、相当な努力をしたのだろう。捕球する際もフットワークが緩まないし、捕球から送球の流動性、強く投げすぎないスローイングは、本人は不器用だと言うが、スナップスローなど、器用にこなす。

 グラウンドでは試合形式のバッティング練習が始まった。

 杉浦よりひと回りコンパクトなユニフォーム姿だが、同じ左打席から力感を感じさせずにシュッとバットを振り抜いては左中間、センターオーバーとすばらしい打球を放っている選手がいる。

 三原田京成(みはらだ・けいせい/3年/178センチ・78キロ/左投左打)という杉浦とともにクリーンアップを務めながら、エース級の存在としてマウンドにも上がる。

「三原田も間違いなく才能のある選手なんですけど、快打のあとに甘いボールを打ち損じるようなもったいない部分があります。逆に杉浦のほうは一生懸命すぎて、無意識に10割を打とうとして力んでしまうのがもったいない。あのふたりを足して2で割れば(笑)」

上條大貴部長のお見立ては、こうなった。

 じつは、中原監督は通算40年にもわたる高校野球監督生活にこの夏で終止符を打つ。厳しく指導してもらった名将の花道のために、そしてなにより大型スラッガーとして自らの将来を切り拓くために、相手にも、自分にも「負けられない夏」。日本ウェルネス長野は7月23日にベスト4をかけて小諸商と対戦する。

著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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