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早稲田大・小宮山悟監督「最強の鬼になる」 六大学野球で5連勝から急失速、秋での逆襲を誓う (2ページ目)

  • 白鳥純一●撮影・文 text & photo by Shiratori Junichi

【快進撃に暗雲が立ち込めた法政大戦】

「チームの雰囲気がよく、選手に自信がついてきたように思う。このまま最後までいくことができれば......」

 そんな小宮山監督の目論見に狂いが見えたのは、今季の最優秀防御率を獲得することが濃厚な法政大・篠木健太郎(3年)を相手に勝利を収め、チームの連勝を5に伸ばした法政大との2回戦(5月8日)でのことだった。

 雨天中止を挟んで行なわれた第2戦は、「春季キャンプであまり具合がよくなかったので、しばらく練習からも外れていた」という清水大成(4年)を先発に起用。履正社時代には奥川恭伸(当時は星稜/現東京ヤクルト)に投げ勝ち、夏の甲子園優勝を成し遂げた左腕の投球に期待を寄せたが、序盤から法大にリードを許して9対6で敗れた。

 小宮山監督は、試合後に淡々と振り返った。

「彼としては準備不足だったかもしれないが、『(卒業後もプロや社会人で)野球を継続したい』という彼の思いもある。就職活動のつもりで、しっかりと投げられる姿を見せないといけない登板だったが、法政もいい選手が揃っているのでそんなに簡単に抑えられるわけがない。甘くはなかった」

 続く第3戦(5月9日)には、昨秋に最優秀防御率のタイトルを手にしたエースの加藤孝太郎(4年)を起用。しかし、初戦のリベンジに燃える法政大・篠木と、小宮山悟監督が「惚れ惚れする投手。横から見ているだけですが、真っすぐ、カーブ、スライダーと申し分ない」と語るドラフト候補の左腕、尾﨑完太(4年)の前に打線は沈黙した。

 互いに無得点で迎えた7回2死2、3塁の場面には、先発の加藤をそのまま打席に立たせて無得点に終わり、「勝負して代打を使っていたほうが、勝つとしても、仮に負けたとしても、9回で決着がついていたかもしれない。延長戦のことを考えてしまった。反省しています」と悔やんだ。試合は12回を終えてスコアレスドロー。加藤の8回無失点の好投を勝利につなげることはできなかった。

 そして勝ち点(※先に2勝したチームが勝ち点を獲得する)をかけた第4戦(5月10日)は、2対1とリードした9回、法政大の4番内海貴斗(4年)の2ラン本塁打と西村友哉(3年)のタイムリーで逆転を許すと、そのまま4対2で試合終了。4試合に及ぶ熱戦を戦ったものの、勝ち点を手にすることはできなかった。

「1本のヒットで本塁まで帰って来られるかどうか。そこにはっきりとした差があったと思う。残念な負け方だが、課題の克服に向けていい勉強になった。(前日に8回を投げた)加藤をベンチに入れておくことができれば違う展開になったと思うが、それはリーグ戦の綾(あや)かもしれない。明治に勝って、最終週の早慶戦まで優勝の望みをつなぎたい」

 先に白星を手にしながら勝ち点を落とした敗戦の悔しさと、3日後に控えた明治大との天王山に向けて指揮官は意欲を覗かせていた。

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