2023年のドラフト候補、立命館大・谷脇弘起は変化量、曲がり幅を自在に操る「稀代のスライダー使い」 (3ページ目)
一方、おもにカウント球として使う変化量の大きなスライダーは「引っかけて高いところから落とすイメージ」で投げているそうだ。
谷脇は近畿大打線と対峙するなかで、自分が研究されていることを感じたという。「低めのスライダーを振らないよう指示されてるんだろうな」と察した。打者の目線が高めにあることを逆手に取り、バッテリーを組む星子海勢と機転を利かせて高めのボール球を有効に使って対処した。
現時点では絶大な威力を誇る谷脇のスライダーだが、曲がり幅が大きく、プロレベルの強打者相手に慣れられたら通用しないのでは? という見方もできる。だが、前述の通り谷脇はスライダーの変化量を自在に調節できるだけに、心配は無用だろう。試しに谷脇に「変化量を落としつつ、速いスライダーも投げられるんですか?」と聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「カット(ボール)よりは曲がるようなイメージになるんですけど、そういうボールも投げられます」
稀代のスライダー使い・谷脇弘起が秋までにどんな評価を勝ちとっているのか。今から楽しみでならない。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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