聖望学園が浦和学院を下し、13年ぶりの甲子園へ。6年前、高橋昂也に夢を阻まれたOBが後輩たちにエール (3ページ目)

  • HISATO●取材・文 text by HISATO

独立リーガーのOBが語る岡本監督とチームの特徴

 聖望学園の埼玉大会決勝進出は6年ぶり。快挙を達成した後輩たちの姿を見て、6年前にショートを守っていた西川洸は当時を思い出していた。甲子園に「あと一歩」まで迫りながら、決勝戦で眼前に立ちはだかったのは、「高校BIG3」と言われていた投手のひとり、高橋昂也(現広島)を擁する花咲徳栄。結果は6-0の完敗だった。

「正直手も足も出なかった。あと一歩が、すごく遠い一歩に感じました」

 西川は高校卒業後、東日本国際大学からクラブチームを経て独立リーグに身を投じた。BC神奈川から四国IL高知に移籍して、今も野球に打ち込んでいる。

「決勝戦はリアルタイムで見てました。本当にすごい試合でしたね! 投手も守備も攻撃も、全部がうまく噛み合っての勝利だったと思います。岡部投手はピンチでも表情を変えないところがいい。エースナンバーをつけて堂々と投げている。守る側としてはすごくありがたいし、力をもらえるんです。いいプレーもあって無失点で抑えられたのは、結構それがあるんじゃないかな」

 岡本監督は厳しいが、西川は選手の気持ちを大事にしてくれる「情のある人だ」と感じていた。締めるところは締めるが、自由にさせるところも多い。その分「自立」と「自律」が重要になる。

「そうでないと遊びになっちゃいますから」

 練習ではノックの前のボール回し、キャッチボールなど基礎を徹底的にやることで、実戦に思いきり臨むことができた。

「忘れられないのは......6年前の夏大会で負けた時、悔しくてみんなが泣いていたら、岡本監督が『何でお前らが泣くねん。負けたのは監督の責任だ。お前らは胸を張ってりゃええねん』と。それで『やっぱり聖望に入ってよかった』と思えて。忘れられない瞬間になりました」

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