「履正社は大丈夫か?」と不安の声も。名将・岡田龍生のあとを継いだ新指揮官の思い (4ページ目)

  • 谷上史朗●文・写真 text & photo by Tanigami Shiro

 監督も選手も、最大のライバルへの思いをストレートに語るようになり、打倒・大阪桐蔭への思いはより強くなっている。そんななか、チームとして掲げた今年の夏の目標は「13連勝」。大阪で最大7試合、そして甲子園で最大6試合を勝ち抜くことであり、つまり全国制覇である。

「大阪はほかにも力を持ったチームがたくさんありますから、大阪桐蔭だけを見ていて勝てるのか......ということも当然あります。ただ、そこだけを見ているくらいでないと勝てないのが、今の大阪桐蔭の強さです」

 いよいよ始まる本番を前に、監督や選手たちから伝わってくるのは、重圧よりも沸き立つ期待感であり、軽やかな空気である。

「春の大会中もベンチで『どうや?』って聞いたら、選手は『めっちゃ楽しいです』って言うんです。それを聞いて『そうやろ。やっぱり公式戦は違うな。オレも楽しいわ』って。夏はプレッシャーはかかるでしょうけど、選手たちと一緒になってとにかく前へ。僕も気持ちだけは絶対に引くことなく戦いたいと思います」

 名将が交代した直後のチームが大きな結果を出すということは、高校野球界にはよくあることだ。そこへ、今年の履正社は学校創立、野球部創部100年という節目も重なる。

 新生・履正社の13連勝へ向けた戦いが、いよいよ幕を開ける。

(文中敬称略)

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