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「令和の江川卓」が衝撃の全国デビュー。九州共立大1年・稲川竜汰の未来が楽しみすぎる (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 稲川はカーブ、スライダー、スプリットの変化球も効果的に使い、150球を投げ抜いて全国初登板を完封で飾ってみせた。

 試合後の会見では、上原監督にOBの大瀬良大地(広島)と比較する質問も飛んだが、上原監督はこう応じた。

「大瀬良が1年生の時(2010年)は1回戦で負けて、彼もリリーフで投げただけでした。でも、まだまだ大瀬良と比べること自体早いですし、おこがましいです」

 その言葉どおり、稲川には課題も多い。高校時代の恩師である奥野さんも「技術的にできないことがたくさんあります」と認める。そして、奥野さんはこう続けた。

「だからこそ、4年間でどれだけ成長するか楽しみですよ」

 東北福祉大戦後の記者会見が終わり報道陣の輪が解けると、稲川がこちらに気づいて挨拶に来てくれた。「1年前からは想像もできないことになったね」と声をかけると、稲川はようやく緊張が解けたのか顔をほころばせてうなずいた。

 令和の江川卓・稲川竜汰は4年間でどこまで成長するのか。ロマンに彩られた大学野球生活は、まだ始まったばかりだ。

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