「東大は何のために六大学にいるんだ」、野球部主将・松岡泰希が出した答えは"勝つため"。「勝たなかったら存在に意味はない」 (3ページ目)

  • 宮部保範●取材・文 text by Miyabe Yasunori

勉強面では教育政策を学ぶ

ーーここで、学業の話を少し。松岡選手をはじめ、東大野球部の皆さんは部の寮で生活をしていると聞きました。大学での授業と練習は、どのように両立しているのでしょうか?

松岡
 野球部の全体練習は、毎日朝8時から12時半までで、午後は自主練習です。全体練習では確認したい動きだったり、みんなで4時間半みっちり取り組みます。1、2限の授業が入っていれば、おのおの途中で練習を抜けて授業を受けて、また戻ってくるという感じですね。

 僕の場合は、必修科目が午後に多くて、時間割的にかなりラッキーなほうでした。だから、なるべく午前中の練習は全部出て、自主練の時間に授業を受けにいっていましたね。コマの選択はある程度、自分の裁量でできるので、3、4限に必修が入っていれば、続けて5限の授業を選択したりはしていました。

ーー午前中いっぱいの練習をしたあと、90分×3コマの授業は大変そうですね。単位を取りこぼしたりはしなかったんですか?

松岡
 単位は全部取れています。必修を落として再履修とかもなかったですね。とはいえ、やっぱり野球中心ではあるので、必修じゃなかったら授業に出ないこともありましたね。

ーー教育学部ではどんな勉強をしているのでしょうか?

松岡 専攻しているのは、教育実践政策学コースです。教育行政や教育政策を勉強しています。たとえば、国の政策として、ICT(情報通信技術)の教育への導入について考えたり、教育行政の仕組みがどうなっているのかを学んだりしています。また、これからの社会でどのような教育のカリキュラムをつくったらいいのか議論したりと、教育の実践的なところを勉強しています。卒論の提出は1月なので、それまでは春季・秋季リーグを戦いながら卒論とも格闘することになります。

「何事にものめり込む」のが東大野球部の力

ーー大学での勉強をおろそかにせず、日々の練習に打ち込んでいるのは本当に頭が下がります。午後は自主練習とのことですが、トレーニングに時間を割けない選手もいるんですね。限られた時間で戦力を上げていくには、どんな工夫があるのでしょうか?

松岡
 レギュラーを争う選手は、午後の自主練にも残っていることが多いですね。やはり限られた時間の多くを野球に割いています。それに、東大の部員には、何事にものめり込む気質の人が多くて、トレーニングに興味を持って勉強しているメンバーがけっこういます。個々の選手がチームのトレーニング時間とは別に、ジムに通ったりしていますね。

ーー部員の皆さんがマニアックに追及している姿が目に浮かぶようです。

松岡 しかも彼らはそこで得たものを練習している時に、惜しみなく周りに還元してくれるんです。「俺、ちょっとこういうのができないんだよね」と話をすれば、ウエイトトレーニングはもちろん、機能的な体の動きをつくるファンクショナルトレーニングについても手ほどきしてくれます。

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