神奈川の県立に最速147キロ右腕。圧巻の「27イニング57奪三振」をマークした澤田寛太にプロ9球団が熱視線

  • 大友良行●文・写真 text & photo by Ohtomo Yoshiyuki

 神奈川県川崎市にある県立大師高校に「ドクターK」こと、澤田寛太(右投右打/186センチ、83キロ)がいる。最速147キロを誇り、打者としても可能性を秘めるプロ注目の選手だ。

 ひと冬越えてどこまで成長しているのか楽しみにしていた人も多かったが、春季大会は3回戦敗退。右ヒジの張りの影響もあって、本来のピッチングとはほど遠い内容だった。それでも公立校では頭ひとつ抜けた存在であり、依然プロスカウトからも高い注目を集めている。

最速147キロを誇る大師高校の澤田寛太最速147キロを誇る大師高校の澤田寛太この記事に関連する写真を見る

驚異の奪三振率で一躍注目

 澤田の名が一躍知られるようになったのは昨年秋。ブロック大会で敗れ、県大会には出場できなかったが、その後の練習試合で圧巻のピッチングを披露していった。

 昨年10月から11月のおもな練習試合でのピッチングは以下になる。

川崎総合戦/9回18奪三振/143キロをマーク
川崎北戦/2回6者連続三振
港北戦/7回14奪三振/147キロをマーク
横浜清陵戦/9回1安打19奪三振

 相手は強豪校ではないものの、県内ではそこそこの力を持ったチームである。練習試合といえども、これだけの結果を出すというのは簡単なことではない。小山内一平監督も澤田のピッチングに驚きを隠さない。

「なにか持っていますよね。入学してきた時からスケール感があり、可能性を秘めた選手でした。私も転任時期が近づいていたのですが、校長に澤田が卒業するまでは監督を続けさせてくださいと懇願しました。球速も、年明けに140キロ出ればいいなと思っていたのですが、予定より早く到達した。もともと手先が器用で、変化球はよかったのですが、コントロールが課題でした。それも徐々に改善されてきました。秋の県大会後の練習試合ではほとんど打たれていません」

 覚醒した理由は何だったのか? 小山内監督に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「特別なことはさせていません。押しつけて練習させるのが私自身好きではないので、冬はウエイト、有酸素系のトレーニングと走り込みの要点だけを伝え、あとは自由にやらせました。強いて覚醒した理由として挙げるなら、昨年夏の大会後に肩甲骨と脇腹を痛め、同時にコロナ禍で授業がリモートになり、グラウンドも使えなくなりました。1カ月近くノースロー状態になったことが、結果的によかったのだと思っています。体も休めましたし、野球についてじっくり考える時間が持てたことも大きかったと思います」

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