2021.12.11

これほどの投手がなぜ大学では無名だったのか。都市対抗で好投したエイジェック左腕の正体

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 創部わずか4年のエイジェックというチームが、全国有数の激戦地である北関東を勝ち抜き、都市対抗に出場したことは衝撃だった。

 しかも北関東予選で破ったのが、日本製鉄鹿島(旧・新日鐵住金鹿島)にSUBARU(旧・富士重工業)という全国大会の常連チーム。さらに、SUBARUを8回1失点に抑えたのが2年目右腕の金城乃亜(24歳/専修大)で、日本製鐵鹿島を8回二死まで2点に凌いだのがルーキー左腕の林明良(あきら/23歳/関東学院大)だと知って驚愕した。

都市対抗で好投したエイジェックの林明良都市対抗で好投したエイジェックの林明良 この記事に関連する写真を見る  ともに大学時代は大きな実績を残すことなく、注目される投手ではなかったからだ。

 その林が11月28日の都市対抗1回戦で、優勝候補の一角であるNTT西日本を相手に7回を5安打無失点に抑える快投を見せ、関係者、スカウトたちを驚かせた。

「150キロ近いボールをビュンビュン投げる左ピッチャーらしいですよ」

 エイジェックの応援席からそんな会話が聞こえてくる。左腕で、このサイズ(180センチ・82キロ)で、しかも150キロ前後のボールを投げるのだから、間違いなく「ドラフト候補」である。だが、「関東学院大の林」は聞いたことがなかった。

 大学では無名でも、社会人野球で急激に頭角を現す選手、とくに投手が出てくるのが社会人野球の魅力である。

【高校時代は藤平尚真らを擁する横浜高校に大善戦】

 初めて上がる東京ドームのマウンド。林は強豪相手でもひるむことなく、堂々のピッチングを見せる。

 ちょうどその頃、横浜隼人高校の水谷哲也監督は、練習試合から帰る野球部のバスのなかで、試合の映像に目を凝らしていた。

「投げるというのは聞いていましたから、見ていたんですけど、こんなにいいピッチングするとは......ビックリしました」

 林は高校時代、神奈川の強豪校・横浜隼人で研鑽を積んだ。

「林は2年生の夏からエース格で投げていました。(神奈川大会の)準々決勝で藤平尚真(現・楽天)や石川達也(現・DeNA)がいた横浜高校相手に8回3失点ですよ。その代わり、翌年はその横浜に16点とられて粉砕されましたけど(笑)」