プロスカウトが熱視線。都市対抗を沸かせた2022年のドラフト候補たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshihiro

 12月9日に東京ガスの初優勝で幕を下ろした第92回都市対抗野球大会。社会人野球最大の祭典は、東京五輪開催の影響で2年連続12月に開かれた。今年は2年ぶりにスタンド応援が戻ってきたこともあり、東京ドームは連日熱気に包まれた。

 大会で輝きを放った選手のなかには、2022年のドラフト候補もいる。今季のプロ野球で栗林良吏(トヨタ自動車→広島)、伊藤将司(JR東日本→阪神)、中野拓夢(三菱自動車岡崎→阪神)と社会人出身選手が即戦力になっている。来季もNPBスカウトが熱視線を送るであろう実力者たちを紹介していこう。

 筆頭株は河野佳(大阪ガス)だ。都市対抗では初戦の伏木海陸運送戦で先発し、4安打完封。安定した制球力で二塁を踏ませない投球だった。

 夏開催の日本選手権と合わせると、今年は全国大会で5戦4勝0敗、28イニングを投げて無失点と圧巻の成績を残した。広陵高を卒業して2年目、20歳という年齢も評価を高める材料になりそうだ。

 将来を見据えて大会直前でもあえて練習量を落とさず、年間通してトレーニングに励んできた。河野自身も「細かいコントロールや変化球の精度など、もっとレベルアップしていかないと」と語るように、意識は高い。

 完成度が高い反面、伸びしろが少ないという見方もできる。今後は強打者揃いのプロで通用するだけのボールの強さや精度が、課題になっていきそうだ。

ミキハウス戦で自己最速の153キロをマークした東京ガスの益田武尚ミキハウス戦で自己最速の153キロをマークした東京ガスの益田武尚この記事に関連する写真を見る 東京ガスの大卒ルーキー・益田武尚(東京ガス)の投球も鮮烈だった。ミキハウス戦では自己最速の153キロを計測するなど、勢いのあるストレートで押した。試合中盤に四球から崩れかけるシーンもあったものの、5回2失点で勝利に貢献。「真っすぐの感覚がよくて、いいバランスで投げられました」と爽やかな笑顔で振り返った。

 北九州市立大でもドラフト候補に挙がりながら、コロナ禍の調整不足もたたってストレートの勢いが戻らず指名漏れにあっている。「東京ガスに来て1から体を作って、投球フォームを見直した」と取り組んだところ、自慢のストレートが蘇った。

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