157キロはただの通過点⁉︎ ドラフト1位候補に急浮上した明桜・風間球打の脅威の能力 (2ページ目)
もし、風間が屋外のブルペンで投球練習をしていたら、この日球場に集まった大勢のファンが群がり、ちょっとした騒ぎになったかもしれない。また、対戦チームである秋田高への強烈な挨拶にもなっただろう。
だが、のちに室内ブルペンを使った理由を風間に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「暑かったので、(試合を)投げ切るために体力を削りたくなかったんです」
この日、秋田市の最高気温は33度に達した。準々決勝だけでなく、秋田大会や甲子園を見据えて戦うためのクレバーさを風間の言動から垣間見た気がした。
といっても、試合前のブルペンでは迫力のある剛球を投げ込んだ反面、変化球の抜け球も目立った。本人も「指のかかりが悪いな」と感じていたそうだが、いざ「プレーボール」の声がかかるとエンジン全開。1回には153キロをマークし、スライダー、フォークなどの変化球も制球できていた。風間は「バッターが入ると気合が違うので、勢いが変わってくるのかなと思います」とこともなげに語った。
前述のとおり、風間は高い位置から叩きつけるように投げ下ろす。必然的に縦回転の変化球を得意としており、捕手の中井稜貴は「変化球のサインを出した時はいつも緊張します」と明かす。さらに、捕球が難しいのは低めのストレートだと中井は言う。
「角度があるので、なかなかうまく捕れません。そこは自分の課題だと思っています」
対する秋田高も伝統校らしく、風間対策を練っていた。2メートルの位置にリリースポイントがくるように計算し、台に乗った打撃投手のボールを打ち込んだ。秋田高の伊東裕監督は言う。
「打線として機能するように、下位打線はたとえ打てなくても球数を増やすなど風間くんにプレッシャーをかけられるよう準備してきました。終盤に1点勝負になると想定していたので、選手には『守備で我慢しなさい』と伝えました」
秋田高は粘り強い攻撃で風間を苦しめた。3対1の6回裏には、一死一、三塁の場面でスタートを切った一塁走者が挟まれる間に三塁走者が生還。伊東監督はすべて「サインプレー」による狙いどおりの攻撃だったと語った。8回裏には佐藤が風間のスライダーをとらえ、同点タイムリーを放っている。
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