157キロはただの通過点⁉︎ ドラフト1位候補に急浮上した明桜・風間球打の脅威の能力

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 こまちスタジアム(秋田)のスピードガンに「157」の数字が表示された瞬間、どう受け取るべきか悩ましかった。

 7月18日、ノースアジア大明桜の剛腕・風間球打(きゅうた)が秋田高戦の4回に投じたストレートが、157キロと計測されたのだ。

秋田高戦で自己最速の157キロをマークしたノースアジア大明桜の風間球打秋田高戦で自己最速の157キロをマークしたノースアジア大明桜の風間球打 自己最速を4キロも上回り、しかもこの日一度だけ計測された数値だった。ベンチで見守ったノースアジア大明桜の輿石重弘監督は苦笑交じりに「間違いじゃないですか?」と疑問を呈した。

 その一方、投げた本人はこんな実感を語っている。

「正直言ってそんなに出ているのかわかりませんが、感覚はよかったです。いつの間にか(ボールが)キャッチャーのミットに着いているような、今までにない感じでした」

 さらに対戦した秋田高の4番打者・佐藤大誠(たいせい)も、試合後にこう証言している。

「あの球を投げられると手も足も出ないと思いました。打席に立って風間くんの気迫を感じて、あの球だけはほかの球とは威力が違うなと感じました」

 球速はあくまで数字であり、目安でしかない。この日、苦戦の末にチームを勝利に導いた事実こそ、もっとも重要なことだった。とはいえ、風間が見せたパフォーマンスは結果以上の強い衝撃があった。

 試合前、秋田高の最速146キロ右腕・石井夢沙士(むさし)は、三塁側ファウルエリアに設えられた屋外ブルペンで快調に投球練習をしていた。だが、一塁側ブルペンに風間の姿はなかった。

 こまちスタジアムはダッグアウト裏にも室内ブルペンがある。「バシン!」という捕球音だけが大きく反響するひと気の少ない空間に、風間はいた。腕を「振る」というより、「叩く」という表現が適切だと思うほどに、豪快な投球フォームだった。

 しなやかに体を使うタイプではない。高いリリースポイントから上体ごと叩きつけるような、爆発力のある投げ方だ。照明の薄暗さも手伝い、白球をはっきりと肉眼でとらえきれない。1球で「モノが違う」とわかる、迫力満点の剛速球だった。

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