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捕手→投手へわずか3年で148キロ。プロ注目・神戸弘陵のエースは夏の甲子園へチームを導けるか (2ページ目)

  • 沢井史●文・写真 text & photo by Sawai Fumi

 時沢の投球フォームは、大きくタメをつくってから大きく足を高く上げ、前傾しながら重心を下げ、スリークォーターから出てくるなど独特だ。一見、ぎくしゃくした感じだが、試行錯誤を重ねながら独自で編み出したフォームだという。

「投手を始めた頃はヒジの位置は今よりも上でしたが、いろいろ試しているうちに今の投げ方になりました」

 このフォームについて、岡本監督は次のように語る。

「正直なところ、肩やヒジに負担がかかるのではないかと思いました。あんなに足を上げなくても......と思いますが、そのほうがしっくりくるそうです。本人がそれで問題ないのであれば、こちらはそれ以上言うことはありません。とにかく、型にはめ込まないようにしています」

 春の県大会では「時沢以外の投手に経験を積ませるため」と、2年生投手を積極的に起用した。初戦でいきなり強豪の明石商と対戦するも10対0と快勝。2回戦でもセンバツ出場の東播磨に7−0と連続してコールド勝利をおさめた。

 時沢は準々決勝の滝川二戦でリリーフのマウンドに上がり、1回1/3を投げて3奪三振と上々のピッチングを見せた。

「いちばん納得できる内容でした。投げたいところにストレートがいきましたし、落ちるボールもいい感じで投げることができました」

 自己最速の148キロをマークしたのは、6月半ばの練習試合だった。最後の夏が近づくにつれ、順調に調子を上げてきた。

 そんな時沢に、岡本監督はこう期待を寄せる。

「今後はストレートの質が重要だと思います。パワーピッチャーなので、実際に球速は出ていても、そこまで速いとは感じない。それはピッチャー経験が浅く、まだ体の使い方ができていないからだと思います。それでもフォークを早い段階でマスターするなど、器用さがある。もっと経験を積んでいけば、本当に楽しみなピッチャーになると思います」

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