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高校で控え→プロ野球を目指すまでに成長。努力の塊・仲田慶介の一芸 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 そして、遠投80メートルから120メートルへと驚愕の進化を見せた時期がやってくる。高校野球を引退すると仲田はジムに通い、肉体改造に着手する。体重が増えるとともに、体の使い方も根本から見直した。

「腹横筋や下半身の使い方を教えてもらって、今まで使えていなかった筋肉を使えるようになり、腕を加速させる方法をつかんでいきました。あとはひたすら壁当てで反復練習しました」

 福岡大野球部グラウンドのホームベース付近から遠投して、センターの122メートルのフェンスにぶつけるまでになった。仲田は膨大な反復練習の末にバックホームのコツもつかんでいった。

「捕ってからステップで上に高く跳ぶんです。そこで上半身を脱力させて、跳んだ勢いを利用して左の股関節にはめ込めば、あとは腕が勝手についてくる。それと回転のいいボールを投げるために、事前に手首を折っておいて、スナップを利かせてリリースするんです」

 大学入学後はスイッチヒッターに転向した。「右投左打の外野手では特徴がないから」と考えたからだった。その分、スイング量は人の2倍に。授業がない日は、午前11時から夜の22~23時までグラウンドで過ごす生活を送っている。4年春にはリーグ戦で打率.382をマークするまでに成長した。

 全国ベスト4と躍進した大学選手権では、4試合で「1番・センター」として出場。打撃面は打率.235と今ひとつだったものの、好守備と好走塁でアピールした。

 希望進路はプロ一本。社会人関係者から「今まで見たことのない強肩だ」と高く評価されても、「育成選手でもいいから絶対に行きたい」とプロ入りを熱望する。

 その一方で、仲田は「まだ実力が足りない」とも自覚している。大学選手権が終わってから着手しているのが、「快足化計画」である。

「努力で肩が強くなったので、今度は足を速くしようと考えています」

 といっても、すでに足も十分速くなっている。高校時代の50メートル走タイムは6秒6で、現在は6秒1。それでも、仲田は「ずば抜けては速くない」と満足していない。オンライン講習で専門家に走り方を指導してもらい、足の回転や歩幅、姿勢に至るまで改良を続けている。

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