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東海大菅生・鈴木泰成に大エースの予感。元プロの監督も絶賛の将来性 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 春のセンバツ初戦・聖カタリナ学園(愛媛)戦で鈴木は先発投手に指名された。エースナンバーをつけた変則左腕・本田峻也が左肩の違和感を訴え、先発を回避したためだ。

 前日の夕方、ミーティング後に若林弘泰監督から「いくぞ」と声をかけられたと鈴木は明かす。

「5回でも6回でもいいから、1イニングずつ全力で投げろと言われました。高校に入ってから初めての先発だったので、当日より昨日のほうが緊張しました」

 鈴木は立ち上がりから快調だった。先頭の堀越璃雄を外角に決まる137キロのストレートで見逃し三振に抑えると、二死後には3番・高岡唯から130キロのフォークで空振り三振を奪った。

 冬場の鍛錬を経て、鈴木は「体力と制球力がつきました」と胸を張る。

「ボールカウントが増えても、自信を持って投げられるようになりました」

 ストレート、カーブ、スライダー、フォークと多少の荒れ球はあるにせよ、球種を問わずストライクが取れた。5回まで被安打2、奪三振3、与四球0、失点0と文句なしの内容で折り返した。

 打順が3巡目になる6回には、一死から安打と四球を許し、2番手の左腕・松永大輝とスイッチ。その後は継投で聖カタリナ学園の猛追を振り切り、東海大菅生が4対3と辛勝した。

 試合後のメディア対応で自分の投球への採点を求められた鈴木は、「75点」と答えている。球速は最速139キロにとどまったとはいえ、新2年生の甲子園デビューと考えれば上々だろう。

 元中日の投手であり、これまで数々の好投手を育成してきた若林監督に鈴木の評価を聞きたくて仕方がなかった。聖カタリナ学園戦のあとに「鈴木泰成投手の素質についてどう感じていますか?」と尋ねると、若林監督はこう答えた。

「非常にポテンシャルが高くて、将来は本当に日本を代表するピッチャーになってくれるかなと感じるくらいです」

 鈴木本人と示し合わせたように「日本を代表するピッチャー」というフレーズが出た。若林監督が日頃から言い聞かせているのか、偶然の一致なのか。

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