高校野球芸人が見たコロナ禍の甲子園。テレビ観戦が役立った「いい話」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki、Sankei Visual

かみじょう そうそう。暑いし、しんどいんやけど、そんな死にそうなところで頑張っている選手を見ていると何も言えなくなる。アルプススタンドの熱気とか、その場にいるから伝わるものもある。やっぱり、体がうずうずしてくるんやな。

── コロナ禍のなか、お二人が注目していたチームはありましたか?

いけだ 僕は神奈川の立花学園です。すごく先進的な野球部で、新しいことを取り入れている野球部なんですよ。この時期にTCL(立花チャレンジリーグ)というチーム内リーグを立ち上げて、試合に出ない選手が実況・解説を務めたり、英語でヒーローインタビューをしたり。ほかにも練習中にドローンを飛ばして上から野球を見たりと、とにかく取り組みが面白い。2019年秋、2020年夏と神奈川県大会でベスト8と、結果も残し始めています。

かみじょう それは面白いなぁ。俺はすでに超有名なチームやけど、履正社に気になる選手がおって。高橋佑汰くんというピッチャー。いけちゃんとは7月に練習試合を一緒に見に行ったよな?

いけだ 彼がエースかと思いました。一番いいボールを投げていましたよね?

かみじょう そうなんよ。履正社は昨夏の甲子園優勝投手の岩崎峻典くんが大エースで、他にも内星龍くん(楽天ドラフト6位)、田上奏大くん(ソフトバンクドラフト5位)とすごいピッチャーがたくさんおって、高橋くんは6〜7番手くらいの投手やった。もしセンバツが開催されていたら、ベンチ外やったんやね。でも、コロナの自粛期間中に実家に帰って、「親にいいところを見せたい」と一流選手の動画を見まくって自分のフォームを見直したらしい。そうしたら、自粛明けに常時140キロを超えるボールを投げられるようになったんやて。

いけだ へぇ〜、それはすごい。大阪独自大会の大阪桐蔭戦では、すばらしいリリーフを見せましたもんね。

かみじょう 高橋くんの姿を見て、コロナでもあきらめずにやれる子が将来成功できるんやと思った。何もかも奪われっぱなしのはずやのに、むしろプラスに換えられるのはホンマすごいなと。

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