2020.08.10

20年前は弱小校→西東京で躍進。
怒りを捨てた監督がチームを変えた

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

◆「甲子園交流試合」で注目野手10人

 例年と違った西東京大会。全国に名を馳せる強豪校がひしめく中で、佼成学園のナインが躍動した。

西東京大会で強豪を次々に撃破した佼成学園 新型コロナウイルス感染の影響で、活動を休止していた私立・佼成学園の野球部が再び動き出したのは6月になってからのこと。ポジションごとに分かれてウォーミングアップをする選手たちの姿を見ながら、藤田直毅監督はこう言った。

「昨年秋の東京大会はベスト16で終わりましたが、手応えがありました。先発を任せられるピッチャーが2人いて、野手にもいい選手が揃っている。今年は甲子園を狙える戦力が整いつつあると思っていました。『やれる!』と感じていただけに、甲子園がなくなったことは本当に残念でした」

 全体練習ができない時期は3カ月半にも及んだ。立教大学卒業後、母校で助監督を務めたあと、社会人野球のリクルートなどの監督を経て、1999年から佼成学園で指揮を取る藤田にとっても初めての経験だった。

「これだけ長い期間、野球から離れたことはなかったですね。オンラインで選手たちに練習メニューを送っていましたが、自分で直接指導することはできない。自主練習だけで、どれだけ追い込めるかは心配でした」

 その後、春季大会の中止が決まり、想定した以上に練習自粛期間は長く続いた。だが、練習再開後の選手たちの姿は、藤田の予想とは違っていた。3カ月半も全体練習から離れていたとは思えないほど選手たちの動きがよく、体重がアップしていた者もたくさんいた。

「(練習を)各自に任せた結果、『みんな、大人だな』と思いました。全体練習ができないからといって、焦る必要も、嘆く必要もなかったですね。もともと自主練習が多い部なので、自粛期間中も選手たちにはあまり違和感がなかったみたいです」