千葉の無名右腕が急成長でプロ注目。
自粛期間に147キロと大幅球速UP (2ページ目)
千葉県船橋市の東葉高速鉄道・飯山満(はさま)駅から歩いて5分ほどの場所に校舎を構える東葉高校。長らく船橋女子高校として歴史を刻み、共学となったのは2005年から。まだ野球部として県大会上位への進出はない。校舎の裏手にあるグラウンドは、もともと畑だった場所に切り拓かれたため水捌けが悪く、至るところに大きな水溜りができていた。
だがブルペンは幸いにもコンディションがよく、投球練習を行なうという。この日、NPB球団のスカウトとその上長であるスカウトも視察に訪れていた。清水がブルペンに入りキャッチボールを始めると、投手出身のスカウトはこうつぶやいた。
「腕というより胸の使い方がいい。胸の開き、柔軟性がある」
そしてこう続けた。
「最近、都会の学校に通う投手は、野球塾などでフォームを教えられすぎているからか、本来の自分の出力を知らない選手が結構多いんです」
清水にはそうした部分がなく、自然と自分の力量に合ったフォームで球に力を伝えられているという。
聞けば、習志野台中学時代は軟式野球部に所属し、変化球投手だったという。それが高校1年夏から先発の機会をもらい経験を積むと、チームメイトとエース争いを繰り広げるなかでメキメキと実力をつけ、球速も上がっていった。
そのなかで大きなターニングポイントとなったのは、やはり昨年秋の日体大柏戦だった。その試合で延長13回を投げ切った清水は、その後、体調を崩した。なんとか中央学院戦までには回復したが、2018年に甲子園春夏連続出場を果たした強豪相手には歯が立たず、大敗を喫した。
「同じ高校生にコテンパンにやられて悔しかった。ボールの重さや質を変えよう」
この敗戦を機に、清水はこれまで以上に体づくりに着手した。すると70キロ前後だった体重は78キロまで増量。身長は175センチと決して大きいわけではないが、昨年秋に撮られた写真よりも明らかにガッチリとした体型になっていた。
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