明石商・中森俊介も155キロが目標。
奥川恭伸の動画鑑賞で気合を注入 (2ページ目)
それでも中森には「151キロ右腕」という称号がついて回り、同じく1年からレギュラー入りしている来田涼斗とともに大きな注目を集め、多くのファンが球場に押しかけ、出入り口付近では出待ちする人で溢れていた。
1年夏から甲子園を経験し、これだけ陽に当たっている時間の長い高校生なら、少しは"いい気"になってしまうだろう。だが、中森のそのクールな表情が崩れることは一度もなかった。狭間監督が言う。
「アイツはどれだけ周りからちやほやされても、調子に乗ったところを見たことがないですね。何かあっても、普段の練習態度はまったく変わりません」
では、当の本人はこのような状況をどう受け止めているのだろうか。周囲からの期待や視線、プレッシャーが足かせになることはないのか。単刀直入に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「プレッシャーを感じた時は、過去に甲子園で投げたすごい投手の動画を見ます。とくに、最近見ていたのは奥川(恭伸/星稜→ヤクルトドラフト1位)さんの動画です。(夏の)甲子園直後は、奥川さんの動画がどんどん更新されていたので、いろんな動画が出てくるんです。甲子園での奪三振集みたいなものもあって、もう100回以上は見ました」
すごい投手のピッチングを目に焼きつけ、「上には上がいる」と己に言い聞かせることでプレッシャーをはねのけ、練習にも身が入るのだと中森は言う。奥川のピッチングについては、「とにかくカッコいいです(笑)。自分もあんな風になれたら......」と目を輝かせるが、今の2年生で150キロに到達しているのは中森のみ。だが、中森自身は「それほどすごいボールを投げている実感がない」ときっぱり言い切った。
「自分は体が硬いので、そこまでいいボールを投げられているとは思っていません。ただ、体が柔らかいほうが力を伝えにくいところもあるのかなと思っています。マシンにたとえると、ボールを放す時にバネの部分が緩いと、力を伝えにくいじゃないですか。そう思うと自分は硬いほうなので、反動でまだ伝えられているのかなと。もちろん、硬いままではケガもしやすいですし、柔軟性を意識したトレーニングは毎日やっています」
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