U-12監督の仁志敏久が語る指導法。
「ただ見守ることが一番難しい」 (2ページ目)
――技術的な面で、小学生年代で身につけておくべきことはありますか?
仁志 とても一般的なことだけでいいと思います。ボールの握り方とか、体を大きく使って投げるとか打つとか、本当に原点的なところです。打つ時の構え方やバットを振る角度など、細かい技術を教えすぎてしまうと、伸びしろがなくなってしまいます。これが日本の子どもたちの懸念材料ですね。それがさっき言った「完成度が高い」という部分です。型にあてはめてしまうのは、絶対にやってはいけないと思います。
――小学生年代は、まだまだお父さん監督やコーチがいます。彼らはどんな意識をもって取り組んでいくべきでしょうか。
仁志 できることを確実にできるようになっていく過程を見守ることが大切ですね。できないことを無理にやらせても期待するような効果はなく、むしろケガの原因になります。ボールを投げて相手に届かなかったら、ワンバウンドでいいと思います。それを届かないのに、ぐちゃぐちゃなフォームで思いっきり投げて暴投するのは、まったく意味がないですね。
――最近では、ケガのリスクへの関心も高まっていて、投手の投げすぎが大きな話題になっています。全日本学童軟式野球大会「マクドナルド・トーナメント」では球数制限70球が実施されました。この導入についてはいかがですか?
仁志 すでに国際試合ではかなり細かい規定がありますし、日本でもあるべきだと思います。まずは70球でいいと思いますが、気をつけてほしいのは、「マックス70球までいいなら、そこまで投げさせてしまえ」と思ってしまうことです。それは少し安易すぎます。その前に体力的に消耗が激しかったら、球数に関係なく代えないといけない。目安は球数ではなく、その子の表情とかしぐさとか投げているボールを見て、代えてあげるのが一番いいと思いますね。
――練習時間についても全日本軟式野球連盟は「1週間に6日以内、1日3時間以内」というガイドラインを出しています。この判断はいかがでしょうか。
仁志 方向性はいいと思います。ただ、もう少し細かいガイドラインがあってもいいかもしれません。指導者って練習内容に困っていることが多いんです。わからないから、とりあえずノックや、バッティング練習をやります。試合形式のノックをやるところもあって、7イニングとかやってしまうと、子どもたちはほぼ突っ立っているだけで練習が終わってしまう。人数が多いと満足な練習ができなくなってしまうので、そういうところもレクチャーしてあげたほうがいいかもしれないですね。
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