早くも宣言「近江が夏のV候補」。有馬諒を筆頭に個性派選手がズラリ (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 奈良出身の有馬が進学先に滋賀の近江を選んだのも、「バッテリー中心にチームをつくっているから、キャッチャーとして中心選手になれるはず」という目論みがあったからだ。有馬の行動にはすべて狙いと目的がある。

 身長181センチ、体重80キロの立派な体躯に、フットワークを使ったスローイングとさまざまな球質に対応してきた正確なキャッチング。課題の打撃もパンチ力が増してきた。進路は今後熟考する予定だが、これだけの素材が注目されないはずがない。

 4月5日から7日まで招集された高校日本代表一次候補のなかには、投手の林の名前はあったものの、有馬の名前はなかった。山瀬や東妻、そして抜群のスローイングを披露した藤田健斗(中京学院大中京)ら合宿に参加した捕手のレベルは高かった。だが、夏が終わる頃には捕手としての総合力が高い有馬が、当たり前のような顔で高校ジャパンのマスクをかぶっていても不思議ではない。

 有馬自身は「高校ナンバーワン捕手」への野心はないという。だが、ここだけは負けたくないというこだわりはある。

「リードは負けていると思っていませんし、チームが勝利することが自分の評価につながっていくと思います。去年は春夏と甲子園を経験させてもらって、うまくいったところもありました。今年は林以外のピッチャーが力を発揮できなければ厳しいですし、キャッチャーとして引き出したいと思います」

 林、有馬の強力バッテリーに、打撃センス抜群の住谷。そこへ爆発的なポテンシャルを秘めながら、ムラっ気のある土田が本格開花してくれば......。

 まだ春のセンバツは終わったばかりで気が早いと言われるだろうが、近江が夏の頂を狙うだけの陣容は整いつつある。

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