2019.02.05

同世代投手に対抗心メラメラ。
菰野の岡林勇希が全国区になる日も近い

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 2018年6月20日に発表された侍ジャパンU18代表一次候補30名のリストに、高校2年生の投手が6名も入っていた。

 最終的に代表に入ったのは奥川恭伸(やすのぶ/星稜)だけだったが、一次候補には他にも佐々木朗希(ろうき/大船渡)、西純矢(創志学園)、井上広輝(日大三)、及川雅貴(横浜)とすでにスカウト陣が熱視線を送る好素材がリストアップされていた。そしてもうひとり、菰野の2年生右腕・岡林勇希の名前もあった。

甲子園出場経験はないが、最速150キロの速球で注目を集める菰野・岡林勇希 三重県立菰野(こもの)高校は西勇輝(阪神)の母校で、公立校ながら毎年のように好投手を育成することで知られている。

「なんで勇希が選ばれてるんやろ。他にもいいピッチャーいるでしょう?」

 そう冗談めかして振り返るのは、岡林の1学年先輩の田中法彦(のりひこ)だ。田中の言う「いいピッチャー」には、自身のことも含まれているのかもしれない。田中は最速152キロを計測した剛腕で、2018年秋のドラフト会議で広島から5位指名を受けてプロ入りしている。そんな田中が一次候補から漏れ、後輩の岡林がリストに入っていたのだった。

 甲子園出場経験がないため、岡林の投球を見たことがある野球ファンは限られているだろう。だが、岡林にはひと目見ただけで忘れられないインパクトがある。

 投手が軸足1本で立ってから体重移動に入る際、グラブ側の腕を捕手方向に向けるのが一般的だ。ところが岡林は、体重移動に入る際にグラブ側の左手を天に掲げるように真上に上げる。グラブをここまで高々と上げる投手はなかなかいない。

 ステップした左足を着いた後は、鋭く腕を振って最速150キロの快速球を投げ込む。対戦した打者は、みな一様に「スピードガン以上に速く感じる」と口を揃える。

 岡林は、この特異なモーションを高校入学後から取り入れたという。

「最初は普通に投げていたんですけど、体全体を使って投げることを意識していたら、だんだん上がっていきました」