2019.02.03

日大三、史上最高の好素材。
井上広輝はバリバリのドラ1候補となるか

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 2017年の日大三には、井上大成というサードの好素材がいた。同学年に櫻井周斗(DeNA)、金成麗生(かなり・れお/トヨタ自動車)とネームバリューのある逸材がいたため大きな話題にはならなかったが、同年夏には侍ジャパンU-18代表に選出され、清宮幸太郎(日本ハム)らとプレーした実力者だ。現在は青山学院大に進んでいる。

 井上を語る上で欠かせないのは、スローイングの美しさである。とくに試合前のシートノックで見せた素晴らしい送球は、今もまぶたに焼きついている。三塁線のゴロを捕球し、三塁ベースを踏んでから助走をとって一塁に投げる。右腕が弓の弦のようにしなり、ファーストに向かって加速するように伸びていく球筋は爽快だった。このスローイングが見たくて、日大三の試合はいつもシートノックから楽しみにしていた。

 高校時代の井上に何度か取材をするなかで、2017年5月のある日に日大三のグラウンドを訪ねたことがあった。その日、グラウンドではBチームの練習試合が行なわれていた。

 二軍クラスのBチームとはいえ、日大三に入学するほどの選手なのだからレベルは高い。なかでも先発マウンドに上がった右腕に目を奪われた。

昨年夏の甲子園で150キロをマークした日大三・井上広輝 フォームのバランスがよく、腕の振りがとにかく柔らかい。体の線が細いからか、余計にしなりが際立って見えた。まだ体ができておらず、短いイニングの登板で失点も重ねたものの、結果はこの際どうでもよかった。たまらず案内係を務めていた部員に投手の名前を尋ねると、「井上です」という。

 井上という選手がほかにもいるのか……と漏らすと、その部員は「井上さんの弟です」と教えてくれた。さらに仰天したのは、この井上の弟・広輝が入学したばかりの1年生だったことだ。

 兄・大成に聞くと、兄弟仲はいいそうで「広輝はいいピッチャーになると思います」とうれしそうに語っていた。いいピッチャーどころではない。投手としては日大三史上最高の素材ではないか。

 広輝は小学生の時にソフトボールをプレーし、中学から硬式野球を始めた。海老名南リトルシニアの中込明宏監督が日大三出身ということもあり、兄の後を追うように日大三に進学した。