2019.01.21

早大野球部新監督・小宮山悟の覚悟。
「本気にならないヤツは使わない」

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

 1901年創部の早稲田大学野球部は、東京六大学リーグで45回の優勝を誇る名門中の名門だ。これまで、数多くの名選手をプロ野球に送り込んできた。

 しかし、2017年秋には70年ぶりの最下位(東京大学と同率の5位)に沈み、ここ6シーズンは優勝から遠ざかっている。名門の危機にあたり、第20代監督に就任したのが、1989年に同野球部の第79代主将を務めた小宮山悟だ。

 プロ野球で通算117勝を挙げ、2002年にニューヨーク・メッツでもプレーした小宮山にとって、早稲田大学野球部は自身の原点だという。芝浦工業大学柏高校時代は甲子園に出場できなかったが、二浪の末に入学した早稲田大学では4年間で通算20勝をマークし、1989年ドラフト1位でロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)入団を果たした。

 小宮山は、もし早稲田大学野球部に入らなければ、恩師の石井連藏氏に出会わなければ、「今の小宮山悟はない」と言い切る。昨年9月の監督就任会見では「受け継がれてきた”一球入魂”の精神を守り、早稲田で4年間やってよかったという選手を輩出していけるようにしたい」と語った。

 2019年1月1日に監督に就任した小宮山悟新監督は、名門再建に向けてどんな思いを持っているのか。

新体制をスタートさせた早稲田大野球部の小宮山監督――監督に就任したばかりですが、苦労していることはなんですか?

小宮山 3学年で100人以上いる部員の名前と顔を一致させることですね。印象の薄い選手もいて、まだ全員を把握できていない。今の子には欲がないのかもしれないですけど、自分の顔と名前を覚えてもらおうと思わないのはダメ。「自分は誰で、どんな特徴があるのか」をこちらに示さないことに物足りなさを感じています。「オレを使え」くらいの勢いでこないと。

――ここ6シーズン、早稲田大学は優勝から遠ざかっていますが、現在の戦力をどう見ていますか?

小宮山 今のチームにはいい選手がたくさんいます。自分たちの学生時代と比較したら、選手の質という部分では、天と地ほどの差がある。すばらしい選手ばかり。「これほどの能力を持つ選手が、あの時代の早稲田にいてくれたら」とも思いますが、今は他の大学にも同じようにすばらしい選手がいます。

 早稲田にも、他のチームでもレギュラーとして通用する選手がたくさんいますけど、問題は本気で野球に取り組めるかどうかです。ポジションが限られていますから、全員を起用するわけにはいかない。レギュラーを取ったことに満足している、思うように伸びないケースもきっと出てくるでしょう。そうならないように、ガムシャラに懸命にやらないといけません。大事なことは、本人がそれに気づくかどうか。なんとか気づくことができるように仕向けていきたいです。