2019.01.16

無名の存在→近大4番→ジャパン入り。
佐藤輝明の評価がうなぎ登りだ

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 底知れない才能が眠っているかもしれない──近畿大2年の佐藤輝明のことである。身長186センチ、体重92キロ、右投左打の内野手だ。その恵まれた体格を見ると、どこかの強豪校でびっしり鍛えられたのだろうと思わずにはいられない。

 しかし、佐藤の出身校は兵庫の進学校として知られている仁川(にがわ)学院。高校時代の成績は、高校2年夏の4回戦進出が最高で、3年夏は初戦敗退。そのため全国的には無名の存在だった。

昨年秋のリーグ戦で3試合連続本塁打を放つなど、長打力が魅力の佐藤輝明 それでも全国の高校球児をくまなく見て回った近畿大の田中秀昌監督の目に留まり、同大学への進学が決まった。その才能は入学後すぐに開花。1年秋には4番を任され、2年秋までの4シーズンで通算7本塁打を記録。なかでも昨年秋のリーグ戦では3試合連続本塁打を放つなど、急成長を遂げている。

 これまでの関西学生野球連盟の通算最多本塁打記録は、西浦敏弘(近畿大)の19本。

「3試合連続で打ったのはリーグ戦タイ記録らしいですけど、彼にはあと4シーズンありますから。十分に狙えるところにいると思います」

 田中監督も佐藤の記録更新に太鼓判を押す。

 佐藤が野球を始めたのは小学1年生の時だ。一時大ケガを負い、1年間、野球から遠ざかった時期もあったが、小学6年の時には阪神タイガースジュニアに選出されるなど、当時から光るものを持っていた。

 ホームランの魅力に取りつかれたのも、ちょうどその頃だ。

「小さい時からホームランは目標というか、ずっと打ちたいと思っていました」

 そんな佐藤が目標としているのは、MLB屈指の強打者であるブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)。彼のように一打で試合の流れを変えられる、そんな攻撃的な選手になりたいと佐藤は言う。

 昨年秋に行なわれた明治神宮大会でも、その非凡な才能を全国の舞台で披露した。

 筑波大との2回戦で村木文哉(2年)が投じたアウトコースの144キロのストレートを逆らわずに打ち返すと、打球は風にも乗って、レフトスタンドで大きく弾んだ。「引っ張るだけでなく、逆方向にも遠くに飛ばせる力がある」と、関係者の評判はさらに上がった。