高校ではベンチ外も大学で開花。本塁打連発の男が一躍ドラフト候補へ (5ページ目)

　そして山形はこう続ける。

「今回、大会で結果も残して、両親とか親戚とかもすごく喜んでくれて、それも本当に嬉しかったですし、4年生からも『ありがとう、お前が打ってくれたおかげで勝ったわ』と言ってもらって......。ピッチャーの杉山（晃基）も、小孫も、望月（大希）もホームランを打って帰って来ると、普段見せへんぐらいの笑顔で迎えてくれて、そういうひとつひとつが本当に自分には嬉しかったです。

　だから、『この人だけのために』って特定するのではなくて、1年から起用してくれた岸監督、堀内コーチをはじめとしたほかのスタッフの方にも感謝できるように。自分の結果よりもチームのこと、それだけを考えて。そうすれば自ずと結果も出るんじゃないかって思うんです」

　挫折を乗り越え、人の優しさを知り、山形はすっかり大人の野球人となった。明治神宮大会でも2回戦で関西国際大に敗れはしたが、山形は９回にホームランを放ってみせた。大学進学の際に、進路相談に乗った創価大学のOB・北川も大きく成長した弟分の姿を見て、こんな言葉を残した。

「（明治神宮大会の）最後のホームランはやっぱりすごかったですよ。タイミングが合った時のコンタクトの強さは、僕もかなわないです。３点ビハインドの最終回、先頭打者で初球をフルスイングしてホームラン......単純にすごいと思いました」

　心身ともに逸材が開花した瞬間だった。