検索

自己採点30点で14奪三振。
金足農・吉田の直球は強烈にキレる (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 必然的にボールを打者寄りで力強くリリースできるようになり、スピードガンだけでは計れない強烈なキレを生み出している。吉田はこうも言っている。

「よくキャッチャーの菊地(亮太)からも言われるんですけど、いい日のストレートはワンバウンドするかな......というところからスピンが効いて低めのストライクゾーンギリギリに収まります」

 鹿児島実戦の成績は14三振を奪い、1失点完投勝利。とはいえ157球もの球数を要し、被安打9、暴投3の内容は本人にとって満足のいくものではなかった。吉田は試合後、自身の投球への採点を求められ「30点」と答えている。

「相手の打線が素晴らしくて、低めの変化球を見極められてほとんどストレート一辺倒になってしまいました」

 したたり落ちる汗を拭おうともせず、吉田は清々しい笑顔で甲子園でのマウンドを振り返った。

「秋田とは違って蒸し暑くて、なかなか呼吸が回復しないなと感じました。打席に入って、塁に出て、ベンチに戻って、水分を摂ってからマウンドに上がっても、秋田大会よりも疲れが残っていることが多かったです。汗かきなので、もっとたくさんアンダーシャツを持ってくればよかったです」

 2回戦は8月14日、大垣日大(岐阜)との対戦が決まった。まだ底を見せていない大会ナンバーワン右腕がさらなる躍動を見せれば、大会が終わる頃には各メディアに「ドラフト1位候補・吉田輝星」の見出しが躍っているに違いない。


「荒木大輔のいた1980年の甲子園」

絶賛発売中

高校野球の歴史のなかでも、もっとも熱く、
もっとも特異な荒木大輔フィーバーの真実に迫る
スポーツ・ノンフィクション。

詳しくはこちら>>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る