都立高の野球監督にジェネレーション闘争。甲子園を叶えるのは誰だ? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 今春の都大会では格上の東京実を破るなど、上位をうかがう態勢は整いつつある。他校の指導者からも「西さんはアイデアマンだし、取り組みに妥協がない」と一目置かれている。

 西監督は言葉に力を込める。

「本気で『甲子園』という単語を言える、甲子園を目指す選手が増えてきました。ウチは全力疾走とか、技術じゃない取り組みでナンバーワンになろうと、他校に負けないようやってきました。でも、最近気づいたんです。それは上を目指す上で最低限のことなんだって。今後はいかに徹底できるか、それを考えていきたいと思います」

 都小平南の堀田一弘監督は「僕は『若手』と言うほどじゃないんですけど」と笑う40歳の監督だ。都府中東を率いた2011年秋には國學院久我山、2012年春には早稲田実と強豪私学を公式戦で破って注目された。小平南では2年目になる。

「この秋から冬にかけて、3カ月で5万スイングを振り込んできました。グラウンドが改修工事で使えなかったので、学校の駐輪場でひたすらティーバッティングをしたんです。最初はひたすら数を振ることでヘッドスピードを高めて、今は頭の位置や骨盤、軸足といったポイントを意識して練習しています」

 外部コーチを含め、スタッフ陣の役割分担も徹底し、目指すは甲子園だ。

「目標を『甲子園』とすることにおこがましさを感じて、以前は抵抗がありました。でも、指導者が言葉に出さないと生徒は目指しません。今は土台の『ど』の字ができたくらいですね(笑)」

 多くのTKB参加者が「次代の有望監督と言えば......」と名前を挙げたのが、都杉並の田北和暁(たきた・かずあき)監督だ。

 今年で38歳になる、いわゆる「松坂世代」。都昭和にいた2004年夏は田中吉樹監督(現・日大二監督)をサポートし、西東京ベスト4を経験。2006年夏は監督として、斎藤佑樹(現・日本ハム)を擁し全国制覇する早稲田実を2対3と苦しめた。

 東京学芸大時代には東京新大学リーグで首位打者を獲得している。独特の存在感を醸(かも)し出し、不思議な魅力に満ちあふれた人物だ。

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