2018.06.06

DeNA守護神直伝のツーシームが武器。
「帝京の後輩」がドラフトへ

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 最後は地力の差が出てしまったか……。最終戦まで優勝の行方がわからなかった東都1部リーグは、東洋大が亜細亜大に9-0と大勝してリーグ戦3連覇を達成した。2位となった国学院大は2010年の秋以来の優勝こそならなかったが、2年生のショート・小川龍成が満票を獲得するなど、3人がベストナインに選出された。

 またエースとしてチームを引っ張った清水昇(のぼる/4年)は、3勝(2完封)、防御率1.75と抜群の安定感をみせ、最優秀防御率のタイトルを手にした。

春のリーグ戦で最優秀防御率のタイトルを獲得した国学院大の清水昇 今年1月、まだ本格的な練習が始まる前、清水と話をする機会があった。そのとき、今年にかける決意をこう口にしていた。

「今年は最後の1年。なんとしてもタイトルを獲りたい。獲れるだけの自信はあります」

 清水といえば、しっかり試合をつくれる投手、バットの芯を外す投球ができる、MAX150キロのストレートに抜群のツーシーム……など、多くの評価を耳にする。

 その一方で、全国大会に出場したのは中学時代に一度だけ。帝京高校の3年間は、一度も甲子園の土を踏めなかった。大学進学以降も全国大会とは無縁。さらに、個人タイトルも獲ったことがなかった。だからこそタイトルを獲って、それにふさわしい投手であると証明したかった。

 清水は、野球の基礎を帝京の前田三夫監督から徹底的に教わった。

「帝京のグラウンドに行くと、今でも高校時代の記憶が鮮明によみがえってきます。やるべきことが多くて大変でしたが、やめようと思ったことは一度もありません。ただ1回だけ、心が折れそうになったときがありました。

 ある試合で、あまりにも不甲斐ないピッチングをして、前田監督から『お前は歴代のエースのなかで、もっともエースナンバーが似合わない』と。ショックでした。うつろな目で帰宅しても何もしゃべらない僕を見て、両親が本気で心配していました。でも、前田監督は挽回するチャンスを必ず与えてくれる。そうやって何度も落とされ、はい上がりながら甲子園を目指した3年間でした」