東海大相模に「伝説の1・2番コンビ」
再来。バントせずに打ちまくる (3ページ目)
その2人の大暴れが、今春の東海大相模の1、2番と重なった。そんな感想を伝えると、山田から意外な反応があった。
「小学校の低学年の頃から(東海大)相模の野球が好きで、渡辺さん、臼田さんの1、2番に憧れを持っていました。僕にはお2人のような力はありませんけど、見本として意識はしています」
2年の春から小松勇輝と1・2番コンビを組む山田拓也 小松、山田の1、2番は2人が2年生だった昨春以降、公式戦では常に固定されている。門馬監督は時に「渡辺・臼田」の例を持ち出しながら、小松と山田に主導権を奪うための役割を課しているという。
小松が「考えることは苦手でガツガツ全力プレーをするのが得意」という猪突猛進型なのに対し、山田は「自分は熱くなりすぎても空回りするので、いい意味で力を抜く」と冷静沈着なタイプ。そんな対照的な個性がかえっていいバランスになっているのだろう。思えば7年前も、渡辺が完璧を求める職人肌なのに対し、臼田は細かいことを気にしない楽天家だった。
今春の東海大相模は優勝候補の一角に挙げられているが、主砲の森下翔太、エースの齋藤という柱はいるものの、全体としてみれば小粒感のあるチームだ。だからこそ、1、2番の重要性は余計に増してくる。
山田は言う。
「ウチは森下以外にホームランをバンバン打てるようなバッターはいないので、つないで、つないで、ランナーをためて......という野球です。チームにちょっとでも勢いをつけられる1、2番になりたいです」
8-1と快勝した3回戦の静岡戦でも、小松が5打数2安打、山田が3打数1安打(2四球)と、2人で計5度の出塁を果たした。
東海大相模が強い年は1、2番打者がいいとき――。
大会が終わる頃、それが定説になっているのかもしれない。
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