2018.03.08

タフネス兄弟、DeNA細川成也の弟・
拓哉がセンバツで狙う強豪撃破

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 秋季関東大会が終わってから3カ月たった1月26日、明秀日立(茨城)野球部に甲子園出場決定の一報が届いた。グラウンドで報せを待ち受けていた選手や保護者は、いっせいに喜びの声をあげた。

 エースの細川拓哉は取材に集まっていた記者たちに囲まれながら、これだけ大勢の人が喜ぶということは本当にすごいことをやったんだと、あらためて実感した。

昨年秋の関東大会ではエースとしてチームを準優勝に導いた明秀日立の細川拓哉 練習を終えて合宿所に戻ると、父からメールが届いていた。細川はまだ小さなころ兄の成也(横浜DeNA)とともに、社会人野球の強豪クラブチーム・横浜金港クラブで4番を打っていた父にキャッチボールやノックをしてもらったことをよく覚えている。メールの内容は、父らしくシンプルだが熱いものだった。

<この冬も練習を重ねて成長した姿を甲子園でみせてください>

 父からの激励に細川は武者震いをした。

 明秀日立の金澤成奉(せいほう)監督が細川を初めて見たのは高校に入ってからのことだ。2歳上で同校のエースを任されている兄に劣らない素質を持つと聞いていたが、実際に細川の内野での動きを見てかなりの素質があると確信した。ただ金澤監督は野手以上に投手としての可能性を細川に感じていた。

「全身の力は成也の方が上でしょう。でも拓哉はパワーこそ兄に劣りますが、柔軟性が優れていた。特に肩甲骨まわりや胸郭(きょうかく)の可動域、好投手はこれらの柔らかさが必須条件です。拓哉にはそれがあった。投手一本で勝負すれば全国トップクラスになれる素質があると思いました」

 金澤監督に投手をするよう勧められたこともあり、1年の夏前から細川は本格的に投手の練習を始めた。1年秋に公式戦デビュー、2年秋には新チームのエースの座についた。「とはいえ……」と金澤監督は苦笑する。

「これだけ体がしなやかなのに、兄の成也と一緒でめちゃくちゃ気持ちが硬い。堅苦しいくらい生真面目だからか不器用なところがあって、なんでも習得するのに時間がかかります。才能があるのだから、もっと気楽に一気によくなってくれないかなと思ったこともありますよ(笑)。でもそれこそ細川兄弟。どんな練習でも手を抜くことを知らない。成長は遅いけれど、歩みは止めずに着実。本当にそっくりです」